豊田合成は、電気と力を相互に変換して伸縮するデバイス「e-Rubber」の開発と実用化の状況について明らかにした。実用化の第1弾として2019年秋に、早稲田大学発の医療機器スタートアップであるイービーエム(本社東京、以下EBM)と共同開発した心臓手術訓練用のシミュレーター「SupeR BEAT」を製品化する予定だ(図1、2018年7月2日付ニュースリリース)。これを皮切りに豊田合成は、センサーやアクチュエーターとしての用途を開拓する。

図1:手術訓練シミュレーター「Super BEAT」
e-Rubberで心臓の拍動を再現する。(日経 xTECHが撮影)
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電気と力を相互に変換し変形するゴム素材

 e-Rubberは、誘電アクチュエーター・センサーの1種で、既存の電磁モーターや圧電素子などに代わる動力源として開発が進む。軽量で高出力、低消費電力といった特徴を持ち、ロボットに搭載される人工筋肉などへの適用が期待できるという。欧州が開発競争で先行する中、豊田合成はアドバンスト・ソフトマテリアルズ(本社千葉県柏市、以下ASM)や東京大学と共同で2007年に開発に着手。2011年には誘電アクチュエーターを組み込んだ義手の駆動に成功し、2013年に低消費電力ゴムシートとしてe-Rubberのサンプル出荷を開始している(2011年10月18日付ニュースリリース2013年10月29日付ニュースリリース)。

 誘電アクチュエーターは、誘電体材料を電極で挟んだ構造で、電圧を加えると両極の電荷間に引力(クーロン力)が生じて誘電層が薄くなる、という原理で動作する(図2)。1層では大きな変位が得られないが、積層してストロークを増やし、制御技術と組み合わせた上でロボットの腕などに搭載すれば、柔らかな“筋肉”として利用できる。

図2:誘電アクチュエーター・センサーの基本構造
ゴム状の誘電層を伸縮性のある電極で挟んだコンデンサー/キャパシタ―のような構造。(出所:豊田合成)
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 電気を力に変えるのとは逆に、力から電気信号への変換も可能。外力によって誘電層の厚みが変わった際の静電容量の変化を検知すれば、力センサーとして使える。

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