創薬研究者が仮説を入力すると関連論文を探すAI

FRONTEOヘルスケアが開発、複数の製薬企業が導入へ

2019/04/23 05:00
高橋 厚妃=日経 xTECH/日経デジタルヘルス

 人工知能(AI)の開発を行うFRONTEOの子会社であるFRONTEOヘルスケア(東京・港、西川久仁子社長)は、製薬企業向けの技術開発にも力を入れており、2018年11月に新薬の研究を支援するAIを開発した。2019年4月2日時点で複数の製薬企業がトライアル版を導入しているという。

 製薬企業の医薬品の研究開発部門などでは、論文と公開データベースを日常的に確認し、研究の仮説を立てたり、実験プロトコルを組み立てたりする。だが、世界中に存在する膨大な論文や公開データベースから、自分に必要な情報を探すには時間と労力がかかるのが現状だ。

 同社が開発したAIは、研究者が自身の仮説を文章で入力すると、関連する論文や遺伝子、疾患、医薬品などの情報を表示するものだ。

AIのコンセプト
(提供:FRONTEOヘルスケア)
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社内の保存データも活用できる

 今回の技術には、同社が開発したAIエンジン「Concept Encoder(コンセプトエンコーダー)」が利用されている。Concept Encoderは、読み込んだ文章を単語に分解し、他の単語との関連度合いを膨大な次元の数字で定義。比較的簡単な計算法を使い、文章の類似度を算出することで、あらかじめ読み込ませたデータの中から似ている文献などを検索する。数値データも扱えるため、論文だけではなく、遺伝子発現などデータベースの情報も含めて結果を示せる。

 「これまでのキーワード検索などと違い、より関連性がある情報を幅広く見つけることができる」と同社の研究・解析部の豊柴博義部長は強調する。同社の西川社長は「社内で保存している文書を読み込ませて活用することも可能。各社に合わせてカスタマイズして技術を提供できるのが強みだ」と話していた。

 また同社はNTT東日本関東病院と共同で、Concept Encoderを利用し、看護記録の文章を解析することで高齢者の患者の転倒や転落を予測する技術の開発も行っている。他にも、日本医療研究開発機構(AMED)の事業で、慶応義塾大学などと共同で、認知症の診断支援システムの開発も手掛けている。

(左から)FRONTEOヘルスケアの西川久仁子社長と同社研究・解析部の豊柴博義部長
(写真:日経 xTECH)
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