九州を地盤にディスカウントストアなどを展開するトライアルカンパニーは2019年4月19日、福岡県内の旗艦店にAI(人工知能)カメラを1500台配置して新装オープンする。同社はこれまでも店内に600台のスマートフォンを設置してスマホのカメラで撮影したり、タブレットを組み込んだカートで決済までできるようにしたりと、ITを活用した店舗のデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組んできた。新装オープンの目玉はAIカメラを自社グループ内で開発した点だ。

トライアルカンパニーの子会社Retail AIが開発したAIカメラ
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手ぶらの客とカートを押す客を見分ける

 AIカメラは店内の棚にある値札取り付け用のレールに付けられるように、マッチ箱を一回り大きくした程度のサイズとした。新装オープンする「メガセンタートライアル新宮店」では店内の全売り場を網羅するように、通路を挟んで両側の棚に複数のカメラを取り付けて反対側の棚に並ぶ商品を映す。

 AIカメラは組み込みOSとしてAndroidを採用しており、いわゆるエッジデバイスとして使える。複数のアプリをネットワーク経由で組み込んで実行し、撮影した画像をAIカメラの組み込みプロセッサーで解析し、解析結果のデータのみをサーバーに伝送する。

 新宮店ではAIカメラを使って、まずは2つの取り組みを始める。一つは棚に並んだ商品の画像をディープラーニング(深層学習)で解析して欠品の有無を認識し、担当者にアラートを送るなどして迅速に補充できるようにすることだ。

 もう一つは売り場に来た客が手ぶらなのか、あるいはカートを押しているのかを認識して、売り場にあるデジタルサイネージの表示を切り替えること。例えばビールであれば、客が手ぶらならば単品の缶の広告を、カートを押していれば24缶入りケースの広告をそれぞれ流すという具合だ。

カートを押していない人が売り場に来ると、サイネージにビールの缶単品の広告を出す
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カートを押している人が売り場に来ると、サイネージに出す広告をケース包装のビールにする
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目指すは1台3000円

 「市販品のAIカメラは機能が多すぎて高い。リテール用途に特化して機能をどんどん削り、価格をとことん下げたかった」。トライアルカンパニーの完全子会社で、AIカメラを開発したRetail AI(東京・港)の松下伸行取締役CTO(最高技術責任者)は自社開発した理由をこう話す。

 開発したAIカメラは初期ロットとして2000台を製造し、単価は1万円強ほどに抑えた。「初期ロットでいろいろな分析を試したいと思い、メモリーを増やすなどしたため当初の計画より約3000円高くなった。次のロットでは追加部品を削るなどして価格を下げる。今後導入が進んで生産ロットが30万台規模になれば、単価を3000円まで下げられる」(松下CTO)とする。

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