サービス開始から初の値上げとなった日本の「Amazonプライム」会費。ただ、新しい年会費の4900円であっても、米国の119ドル(約1万3300円)と比べると6割強安い。なぜ日米でこれほどまでに差があるのか。その秘密は物流コストにある。

 米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)が有料サービスの「Amazon Prime」を米国で提供し始めたのは2005年のこと。当時の年会費は79ドルだったが、2014年3月に99ドルに、2018年3月には119ドルにそれぞれ引き上げている。対して、アマゾンジャパン(東京・目黒)は2007年に日本でAmazonプライムを始めたてから10年以上、年会費を3900円に据え置き続けた。そして、2019年4月12日に初めて4900円に値上げした。

米国のアマゾンは配送料も日本の2倍

 年会費が日米で大きく異なるのは、国土が日本の約26倍と広く人口密度も低い米国の商品配送料がそもそも日本よりも高いためだ。例として日米のアマゾンが提供している「当日配送(日本での名称は「当日お急ぎ便」)」の料金を比較してみよう。

 日本では当日配送をAmazonプライム会員には無料で、非プライム会員には600円(本州・四国の場合)で提供している。一方、米国ではPrime会員であっても35ドル以上の注文をした場合にのみ当日配送が無料で、35ドル未満の場合はPrime会員でも最大5.99ドル(約670円)かかる。さらに米国では非Prime会員が当日配送を使うと最大で9.98ドル(約1120円)かかる。Amazon Primeの会費だけでなく、商品配送料そのものが米国は日本の2倍の水準なのだ。

 米アマゾンは物流コストの高騰をあの手この手でしのごうとしている。その取り組みの1つが自前での物流網の構築だ。同社は2016年から自社専用の貨物機を使った航空輸送を始めており、同社がリースする専用貨物機の総数は2018年末までに40機に達し、2020年までにさらに10機を増やす計画だ。

アマゾンの専用貨物機
出典:米アマゾン・ドット・コム
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 自前の宅配網の構築も進めている。米国では2015年から「Amazon Flex」を始めた。これは雇用契約を結ばない一般人に、自家用車を使って商品を宅配してもらう「ギグエコノミー」の仕組みである。米国の住宅地では、自家用車にアマゾンの段ボール箱を満載して配送する私服の一般人を見かけることが珍しくなくなった。こうした一般人は時給にして18~25ドルほどの手当でアマゾンの商品を配送している。ちなみに自家用車はホンダの「シビック」のセダンタイプが多い印象だ。

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