発表されたブラックホールの画像
(Credit: EHT Collaboration)
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 国際的な研究グループのイベント・ホライズン・テレスコープが発表したブラックホールの写真が世界を驚かせた(発表資料)。日本から参加した研究チームも、この成果に多大な貢献をしている(日本の研究チーム EHT-Japanが解説する日本の貢献)。その1つとして挙げられるのが、「スパース・モデリング」と呼ばれるデータ処理の技術だ。電波望遠鏡から得られた観測データから、画像を構成するために利用している。

 今回の観測では、複数の電波望遠鏡を連携させた超長基線電波干渉計(Very Long Baseline Interferometry: VLBI)という仕組みを利用している。この方法の課題の1つは、ブラックホールを鮮明に映し出すのに必要な解像度があと一歩足りないことだ。今回使ったスパース・モデリング手法の一部を解説した論文によれば、電波望遠鏡の間の距離をD、観測する電波の波長をλとすると、解像度(角度)はおおむねλ/Dで表せる。ここに、具体的な数値(λ=1.3mm、D=1万km)を当てはめると、約25マイクロ秒角となり、今回撮影したブラックホールの半径とほぼ同等という。鮮明な画像を映し出すには、さらなる解像度が欲しいところだ。

 今回、画像の解像度を高める「超解像」技術として利用された1つがスパース・モデリングである(関連ページ)。この手法でどうやって超解像を実現するのかをざっと説明しよう。

 スパース・モデリングでは、求めたい画像をI、観測したデータをV、IをVに変換する操作をF注1)で表すと、これらの関係は下記の式で表せる。

V=FI

注1)具体的にはFは離散フーリエ変換に相当する。実際には、さらに色々な変換が加わる。

 ものすごく簡単な式だが、実際には画像を構成する画素も、観測したデータも無数にあるため、上の式は、両者の関係を表す非常に多くの連立方程式を1つにまとめた表現と言える。ここでの大きな問題は、求めたい未知数(画像の画素)と比べて、観測データが圧倒的に足りないことだ。このため、連立方程式を解こうと思っても、通常は解を一意に求めることができない。

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