サポートベクターマシンを利用

 開発当初に、どのようなAI技術を活用すべきかを検討した。画像解析の延長上にある機械学習を活用する方向で一致し、機械学習の一種のサポートベクターマシンを利用することにした。最近注目されている深層学習(ディープラーニング)と異なり、学習や出力の過程が技術者に理解しやすく、画像認識や音声認識などの分野に応用されている実績がある。

 AIは自ら学習して知識を深めていくことができるが、そうした機能は搭載しないことにした。導入した病院ごとに異なる方向に成長すれば、出力結果を保証することができない。「恐らく医療機器としての承認を得るのは難しいだろう」(須貝氏)と考えた。

 ソフトウエアの実装においては「特別な技術は用いていない」(須貝氏)とする。それよりも昭和大学による教師データ用画像の収集やアノテーション、名古屋大学によるアルゴリズムの開発などがポイントだったと振り返る。事前に腫瘍か腫瘍でないかを識別した約6万9000枚の症例画像を集めて教師データとして学習させた。症例画像を収集する際には、研究開発での利用に「賛同しない」と意思表示した人の画像は使わないようにしたという。

左から、開発を統括したサイバネットシステム 医療ビジュアリゼーション部 部長の須貝昌弘氏、同 部長補佐の華原革夫氏
(写真:日経 xTECH)
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 あらかじめ撮影された評価用内視鏡画像を用いた「後ろ向き性能評価試験」において、疾患のある患者のうち検査で正しく陽性と診断された人の割合を示す「感度」は96.9%、疾患のある患者・疾患のない患者のうち検査で正しくそれぞれ陽性・陰性と診断された人の割合を示す「正診率」は98.0%で、専門医に匹敵する診断精度が得られた。正診率は90%以上を求められたという。

 医療機器の承認審査を担う医薬品医療機器総合機構(PMDA)からは、「申請書の内容の根拠を示してほしい」といった、数多くの照会事項があった。これに対して昭和大学や名古屋大学の医師らが論文などを素早く調べて対応してくれた。こうした医師の協力があったことなどで、迅速な承認につながった。