炎症性腸疾患の患者が自身のデータを入力するプラットフォームが日本に登場(page 2)

患者間のコミュニケーションや新薬開発に貢献へ

2019/04/10 06:00
高橋 厚妃=日経 xTECH/日経デジタルヘルス

腹痛の有無や程度などを入力

 Activaidはまず、炎症性腸疾患の患者を対象にサービスを行う。炎症性腸疾患は、大腸や小腸の粘膜に慢性の炎症や潰瘍を起こす病態の総称。主に潰瘍性大腸炎とクローン病に大別される。国内で患者数が多い難病で、29万人が罹患していると言われている。10代から30代の若い世代が発症する場合が多い。「若い患者は、新しいサービスに対する受容性が高い。TwitterやSNSで紹介されているのを見て、Activaidを知る患者が多いようだ」と長谷部代表取締役は話す。

 同社が収集するデータの項目は、臨床ガイドラインや米食品医薬品局(FDA)のガイドラインで定められていたり、製薬企業による治験プロトコルで利用されたりする項目などをベースにしており、専門医や複数の製薬企業からレビューを受けた。具体的には、腹痛の有無や程度、下痢便の回数、血便の有無、体重、病変部位、大腸切除などの手術歴の有無、内視鏡所見、血液検査の結果などだ。同意を得た上で、患者にこれらのデータを入力してもらう。将来的に、遺伝子解析サービスを手掛ける企業などと連携し、収集するデータの種類を増やしていく方針だ。

 同社の長谷部代表取締役は、「現在のところ、患者間のコミュニケーションでよく利用されているのはTwitterだ。患者は同じ病気や病態の患者とつながるための専用のTwitterのアカウントを持っている。そこには、自分が利用している医薬品や症状など詳細な情報を開示したり、日々の病態の変化などを記録して公開したりしている患者も少なくない」と話す。同社が炎症性腸疾患の患者にインタビューをしたところ、自身のデータを開示するモチベーションにつながるのは、コミュニティーとつながれることの他にも、困っている他の患者らに恩返しできることや、病気を管理できることだと分かったという。

 ActivaidがTwitterと異なるのは、「患者同士のコミュニケーションを図れることに加え、集まったデータは、将来的に製薬企業に提供されて新薬の開発に貢献できる可能性があることだ」と長谷部代表取締役は強調した。今後、1000人ほどのデータが集積できた時点で、製薬企業に提供することを考えているという。

Activaidの長谷部靖明社長
(写真:日経 xTECH)
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 Activaidの長谷部代表取締役は、名古屋大学医学部医学科を卒業後に大学病院で初期研修を行い、その後マッキンゼー・アンド・カンパニーで製薬企業を顧客としたプロジェクトに従事。関東労災病院の経営企画室を経て、大手の製薬企業であるスイスNovartis社で新規医薬品のグローバルの開発などを手掛けてきた。2018年4月にActivaidを創業した。

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