宇宙航空研究開発機構・宇宙科学研究所(JAXA・ISAS)の小惑星探査機「はやぶさ2」は4月5日、小惑星リュウグウへのクレーター生成実験を実施。実験は事前に設定したシーケンス通りに進行し、衝突体によるリュウグウ表面の飛散を確認した。クレーターの生成成功は確実と見られる。JAXAが会見で発表した。

クレーター生成実験成功の会見
会見で「成功」の文字を拡げる関係者たち。前列左より、三枡裕也・航法誘導制御担当、武井悠人・探査機システム担当、佐伯孝尚・プロジェクトエンジニア、津田雄一・プロジェクトマネージャー、澤田弘崇・サンプラー/DCAM3担当。後列左から、荒川政彦・神戸大学教授(SCI/DCAM3科学観測担当)、吉川真・ミッションマネージャー(撮影:松浦晋也)
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 同実験ははやぶさ2によるリュウグウ探査のハイライトというべき、新規性も難易度も高い実験。重量2kgの銅塊の衝突体をリュウグウ表面に打ち込んで、人工クレーターを作り、そ形成状況を観察する。太陽系生成時、小惑星は衝突による破壊と破片の集合を繰り返して生成されたと考えられており、衝突現象の理解は太陽系が現在の形になるにあたっての道筋を知るために重要な研究項目となっている。

 実験では、はやぶさ2から爆発により衝突体を打ち出す衝突装置(SCI)と衝突の瞬間を観測するリモートカメラ(DCAM3)を続けて分離し、本体はリュウグウの陰に待避して衝突時に飛散するリュウグウの破片を回避する。今回、一連の動作シーケンスは正常に実行されたことが確認でき、実験後の探査機の状況も正常である。

今回の実験手順のCG動画
(クリックで別ウインドウにJAXAサイトの動画が開きます)

 実験終了後にはやぶさ2からの取得画像のダウンロードが行われ、はやぶさ2本体の観測カメラ「ONC-W1」が取得した画像から、SCIが正常にはやぶさ2から分離できたと確認された。また、DCAM3からの映像でリュウグウ表面物質が衝突によって噴出している様子(イジェクター・カーテンという)が確認された。SCIが打ち込んだ衝突体によりクレーターが生成したのは確実である。

仕込んだ自動シーケンスを完璧に実行

 はやぶさ2は通常、リュウグウより20kmの位置「ホームポジション」で待機する。今回の実験は日本時間の4月4日午後1時(探査機側の時刻。地上での確認は現在電波がリュウグウから地球に届くまで17分かかるので、17分遅れる)にスタート。ホームポジションからリュウグウへの降下を開始した。同日夜11時55分にはリュウグウから5kmのところに到達。以後は降下速度を緩めて4月5日朝にはリュウグウ表面から500mのところで一定高度を保つホバリング状態入り、あらかじめ送信してあった動作シーケンスによる自動運転でクレーター生成実験を開始した。

 まず午前10時56分にSCIを分離。分離には、SCIの姿勢安定のために回転を与えつつ押し出す特殊設計のバネを使用した。次にリュウグウに対して側方に1km移動し、SCIに対してリュウグウの影に入る退避マニューバーを開始。その途中、午前11時31分にDCAM3を分離した。

はやぶさ2から分離したSCIの実画像
はやぶさ2搭載のONC-W1カメラでフラッシュを使って撮影。画面が真っ暗だが、これは露出をSCIに合わせたためで、実際には背景全体にリュウグウ表面が写っている。SCI上面には反射テープが貼ってあり、フラッシュ光を反射して輝いている。これを使い、複数枚の画像からSCIの回転速度を算出する(出所:JAXA)
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