トヨタ自動車が、ハイブリッド車(HEV)技術を他社に本格的に販売する方針を掲げた。2万件以上の特許を無料にして、安さを訴求する。意識するのは、ドイツ・フォルクスワーゲン(VW)が電気自動車(EV)専用のプラットフォーム(PF)を他社に販売するとぶち上げたことだ。世界がEVに染まる前に、トヨタは迎え撃たねばならなかった。

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プリウスのハイブリッド技術(出所:トヨタ)

 VWは2019年3月に、同年末から生産を開始するEV専用PF「Modular Electric Toolkit(MEB)」を他社に販売すると表明した。「電動車時代」になるはずの2020年代。VWは主役に立つパワートレーンとして、トヨタが強いHEVではなく、EVにするための具体策を示したわけだ。

 MEB拡販の布石が、VWが2019年1月に発表した自動車部品の新ブランド「フォルクスワーゲン・グループ・コンポーネンツ(Volkswagen Group Components)」である。他社への部品販売をにらんだものとみられ、VWは「世界最大規模の部品メーカー」と豪語する。

 新ブランドで扱う部品は幅広い。エンジンやシャシー、シートなどあるが、最大の使命はMEBの販売だろう。VWが掲げるMEBの販売目標は壮大で、「1500万台規模」に達する。

 トヨタにとって、とても見過ごせない規模感である。乗用車の世界販売台数は大体、年間1億台。2030年の厳しい環境規制を想定すると、「半分の5000万台が電動車になる」(トヨタ副社長の寺師茂樹氏)。VWは、そのうち3割というとてつもないシェアをMEBで握る目標を掲げたわけだ。

 トヨタは2030年に550万台超を電動車にする目標を掲げるが、約3倍の差。ハードウエアの販売競争では、規模がとりわけ重要になる。何も手を打たなければ、トヨタのHEVはVWのEVに完敗する。

 寺師氏がVWに対抗したかのように強調するのが、「システムサプライヤーになる」ことである。トヨタが単独で1500万台超のHEVを販売するのは、さすがに無理だ。VWと同様にトヨタ以外の完成車メーカーに“サプライヤー(部品メーカー)”としてHEV技術を販売し、MEBと同等以上の規模を狙う。

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