「(東京・大手町拠点の)立ち上げがようやくできた。いま先手を打って動かないと。必死の思いで東京に来ている」――。

 トヨタ自動車でAI(人工知能)戦略を担当する先進技術統括部の竹内康臣主査は、日本ディープラーニング協会(JDLA)が2019年3月19日に開催した「E資格合格者の会」で、記者にこう語った。

 同社は今、東京でディープラーニング(深層学習)の技術者をはじめとするIT人材の採用を加速させている。同社がE資格合格者の会に協賛したのも、AI人材コミュニティーの間でトヨタの知名度を高め、採用につなげる活動の一環だ。

トヨタ自動車先進技術統括部の竹内康臣主査
[画像のクリックで拡大表示]
JDLAが手掛ける検定のうち、ビジネスパーソン向けの「G検定」はこれまで4回開催され、合格者は延べ6199人。一方、エンジニア向けのE資格は2回開催され、合格者は延べ479人である
[画像のクリックで拡大表示]

 トヨタは約1年前の2018年3月にはアイシン精機、デンソーと「TRI-AD(Toyota Research Institute - Advanced Development)」を設立。同年6月から採用活動を本格化し、将来的に1000人規模の開発体制を目指している。

 さらにトヨタは2018年10月、AI関連技術の開発や新規ビジネスの立ち上げを担う拠点を大手町ビルに設置した。現在も入居作業を進めている。同ビルはトヨタが出資するPreferred Networks(PFN)も拠点としている。

シリコンバレーとトヨタ本社をシームレスにつなぐ

 トヨタ自動車はこれまでもIT技術者の採用を積極的に進めていた。2017年には南武線沿線や六本木駅などで、大手IT企業の技術者をターゲットに求人広告を打ったこともあった。

 ただ、IT技術者を獲得したものの「意思決定のスピードや社内文化にズレを感じ、辞めていく技術者も多かった」と、当時トヨタに在籍していたIT技術者は語る。

 2018年3月に設立したTRI-ADは、トヨタが90%を出資しつつも、トヨタ本社の社内制度や文化から離れた「出島」という側面がある。

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら