1回の採血でがんと脳卒中、心筋梗塞の発症リスクを評価

味の素が2019年4月に提供開始

2019/03/22 05:00
伊藤 瑳恵=日経デジタルヘルス

 血液中のアミノ酸濃度の分布を分析することで、10年以内に脳卒中や心筋梗塞を発症するリスクを評価できる――。食品大手の味の素は、そんなスクリーニング検査を2019年4月に提供開始する。

 血液中に含まれるアミノ酸の濃度バランスは、健康な人であれば一定に保たれるようコントロールされるが、疾病に罹患するとそのバランスが変化することが分かっている。これを利用して、味の素は血液中のアミノ酸濃度のバランスから、現在の健康状態や病気の可能性を明らかにするスクリーニング検査「アミノインデックスリスクスクリーニング(AIRS)」を2017年11月から提供してきた。全国の人間ドックを中心に既に約1400施設で採用されている。

健康な人なら、アミノ酸濃度のバランスが一定
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抱える疾患に応じてアミノ酸濃度のバランスが異なる
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 これまでのAIRSでは、(1)現在がんである可能性、(2)4年以内に糖尿病を発症するリスク、(3)必須アミノ酸と準必須アミノ酸の状態、の3つを評価することができた。(1)のがんに罹患している可能性に関しては、胃がんや肺がん、大腸がんなど7種類のがんを対象にしている。

味の素 代表取締役専務執行役員 アミノサイエンス事業本部長の福士博司氏
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 これらの評価項目に加えて、今回新たに追加するのが、10年以内に脳卒中や心筋梗塞を発症するリスクである。AIRSによって、がんと脳卒中、心筋梗塞の全てを評価できることになり、「3大疾病を評価できる国内初の検査」と味の素 代表取締役専務執行役員 アミノサイエンス事業本部長の福士博司氏は強調する。

4000人の血液データを活用

 脳卒中と心筋梗塞のリスクを評価する方法は、滋賀県長浜市と京都大学大学院医学研究科が立ち上げた「ながはま0次予防コホート事業」で収集した約4000人の血液データを活用して開発した。10年以内に発症するリスクをA~Cの3段階で評価する。

(左)10年以内に脳卒中または心筋梗塞を発症した人と発症しなかった人のアミノ酸濃度のバランス比較と(右)評価指標ごとの発症リスク(出典:味の素)
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 リスクが最も低いAの人に対してリスクが最も高いCの人は11.4倍の確率で発症する可能性があるという。実際、長浜市の住民のうち、Cと判定された人の約5%が10年以内に脳卒中または心筋梗塞を発症したのに対し、Aと判定された人の発症率は約0.5%だったという。

 AIRSでは、リスクを評価するだけでなく、評価結果に応じて生活習慣の乱れを改善する策も提案している。まずはAIRSで未病を可視化し、早期介入に役立てたい考えだ。

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