アデランス(本社東京)とSpiber(本社山形県鶴岡市)は、構造タンパク質を活用した毛髪素材の共同開発を開始した(図1、ニュースリリース)。Spiberの構造タンパク質に関する技術と、アデランスが蓄積してきた人工毛髪の開発力を組み合わせて、石油由来の材料を使わない新たな毛髪素材を開発する。2021年の製品化を目指す。

図1:東京工業大学 物質理工学院材料系 教授の鞠谷雄士氏(左)とアデランス 代表取締役社長の津村佳宏氏(中)、Spiber 取締役兼代表執行役の関山和秀氏(右)
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 ウィッグの開発・製造や毛髪移植事業などを展開するアデランスは、1983年から人工毛髪を研究している。将来、ウィッグに適した人毛の入手が難しくなることを予想して始めたもので、化学繊維に天然の人毛に近い性質を持たせた人工毛髪を開発し、自社製品のウィッグに採用してきた。2006年に製品化した「バイタルヘア」では、芯・鞘・表面の3層構造によって、ドライヤーによる乾燥で生じる質感の変化も表現しているという。さらに今回、より人毛に近い質感を持たせると同時に石油資源依存からの脱却を目的として、新たな人工毛髪素材の創出に乗り出す。

 研究を進めるに当たって同社が着目したのが、構造タンパク質だ。構造タンパク質とは、毛・爪を構成するケラチンや骨・皮膚を構成するコラーゲンのように構造的な役割を果たすタンパク質で、酵素や抗体のように生理的な役割を担うタンパク質と区別して呼ばれる。同社は「人毛でも化学繊維毛でもない新たな選択肢」として、構造タンパク質を用いた毛髪素材を検討。構造タンパク質の設計・製造技術を持つSpiberに連携を打診したという。

 強靭なクモの糸を人工合成する研究から始まったSpiberは、現在、「天然素材を超える」(同社)性質を備える構造タンパク質の設計から量産までに取り組んでいる。2021年からの商業生産を目指し、タイに発酵プラントを建設中だ(図2~4、2018年11月28日付ニュースリリース)。

図2:構造タンパク質を製造するSpiber本社のパイロットプラント
(出所:Spiber)
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図3:Spiberが開発した構造タンパク質
(出所:Spiber)
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図4:構造タンパク質の加工例
(出所:Spiber)
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