ZOZO(ゾゾ)の体型計測スーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」を代表とする自動採寸の技術が普及し始めた。採寸の“甘さ”といった課題を新たなビジネスチャンスと捉えて、技術ベンチャーたちが続々と名乗りを上げる。儲けの「種」をどう育てるか――。そんな活発な議論が、「第3回 J-TECH STARTUP SUMMIT」(2019年2月、日本橋ホール)のトークセッションで繰り広げられた。

【登壇者】
・謝英弟氏=VRC代表取締役社長(高速3次元スキャン技術を手掛ける
・松本渉氏=アラヤ取締役(汎用AIにつながる新技術を研究
・國土晋吾氏=TXアントレプレナーパートナーズ代表理事
・モデレーター 中道理=日経BPリアル開発会議編集長

登壇者 右から、謝英弟氏=VRC代表取締役社長、松本渉氏=アラヤ取締役、國土晋吾氏=TXアントレプレナーパートナーズ代表理事、モデレーター 中道理=日経BPリアル開発会議編集長(撮影:日経 xTECH)
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VRCは高速3次元(3D)スキャンを手掛けているが、ゾゾスーツの戦略転換の影響はあったか。

VRC 謝氏 ゾゾには感謝の気持ちが大きい。VRCは2016年ごろから衣服の3次元スキャン技術を開発してきたが、ユニークだけどビジネスとして実用化できる水準にはなかった。2017年11月のゾゾスーツ配布を契機に、日本の顧客が衣服の採寸の重要性を再認識し出した。VRCもこの波に乗って注目を集めるようになり、企業としての発展につながった。

 衣服のオーダーメイドを目的としたゾゾスーツだが、課題はコストにある。製造原価は約1000円と見られ、大量に配布するにはコストが膨らむ。若干、強引な戦略だったと言えよう(関連記事:ZOZOで注文したスーツが不良品に、出荷延期も驚きの急展開)。

謝英弟氏=VRC代表取締役社長(撮影:日経 xTECH)
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 重要なのは「入口」だ。採寸するという目的以外に、エンターテインメント性を持たせることが必要だろう。楽しみながら使うことができれば、顧客の幅は広げられる。3DCGで動くバーチャルYouTuber(VTuber)などと相性は良く、エンドユーザー(顧客)にとっては分かりやすい価値となる。仮想空間上で、衣服や靴などに広告を付けるビジネスが期待できる。

 3Dスキャンにおける課題は衣服にある。人間は衣服を着ていると正確な寸法はなかなか分からない。一方で、衣服を着ている状態で「インナーボディー」(裸時の寸法)を推定できる技術があれば「ぜひ欲しい」との声を多数いただいている。この実現には、カメラだけでは限界がある。AI(人工知能)やディープラーニング(深層学習)の適用が不可欠だ。

技術ベンチャーのVRCは、手足を広げて立つと0.5秒で自分の3Dモデルを取得できる技術を持つ(出所:VRC)
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 他社との連携を強めながらこの技術を実現していきたい。VRCの主力は、人間の3Dモデルを生成してサーバーに送る技術だ。これを横展開して、ゲーム会社やイベント会社に技術を供給する。アパレルや通信事業者など、技術を供給する企業は広がりつつあり、一層の拡大に向けて供給体制を整えたい。

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