2019年3月20日、約1年の“沈黙”を経てついにロボット玩具「toio」が正式発売の日を迎えた。当初はソニーからの販売と2017年12月1日の発売をアナウンスしていたが、2018年1月に先行予約分だけを出荷した上で、量産対応を理由に発売延期。その後、開発チームはグループ会社のソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)に移籍していた。

 この1年、開発チームは量産対応を進めるとともに、先行予約モデルのユーザーのフィードバックに基づいてtoioを改良してきた。正式版toioは、先行予約分のモデル(以下、先行予約モデル)からどう変わったのか。プロジェクトの創始者で、現在はSIE プラットフォームプランニング&マネジメント部門T事業企画室の課長(事業開発担当)である田中章愛氏と、同室室長の中多大介氏に聞いた。(聞き手は、高野 敦、根津 禎=日経 xTECH/日経エレクトロニクス、山田 剛良=日経 xTECH/日経ものづくり)

2018年1月に「toio」の先行予約モデルを出荷してからほとんど情報が出てきませんでした。実際はどうなっていたのでしょうか。

田中章愛(たなか・あきちか)氏
SIE プラットフォームプランニング&マネジメント部門 T事業企画室 課長(事業開発担当)。2006年ソニー入社。ロボットの研究開発や新規事業創出プログラムの企画運営を経て、ロボットトイ「toio」を提案。2018年より現職にてtoioの商品企画・事業開発を担当。

田中 先行予約モデルの出荷後は、4月に開発チームごとソニーからソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)に移り、「PlayStation」チームの力を借りて正式版の発売に向けて尽力していました。お待たせしましたが、ようやく発売にこぎ着けました。

 もう少し詳しく説明すると、先行予約モデル自体の生産には問題はありませんでした。ただし、もっとスケールさせるには生産の課題が多く、一般のお店に並べて売るための体制も十分に整っていなかった。それができる体制を構築しようということでSIEに移りました。これまでゲーム市場でインフラを築いてきたSIEの力を借りようというトップマネジメントの判断もあり、チームがSIEに全面的に移行したのです。この1年は、PlayStationの設計や生産、販売も含めたリソースを活用して、正式版の発売に向けて準備してきたという活動状況でした。

インターフェースにこだわり

製品としてはどう変わったのでしょうか。

田中 ぱっと見では分かりにくいのですが、実際はいろいろと細かく変わっています。見た目で分かる大きな変更点は、カートリッジを上からではなく横から差し込むようにしたことや、コントローラーのボタン形状などです。

正式版ではコンソールの横からカートリッジを差し込む。(写真:日経 xTECH)
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先行予約分ではコンソールの上からカートリッジを差し込んでいた。(写真:加藤 康)
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コントローラーのボタン形状が数字になっていますね。

田中 先行予約モデルは点々の出っ張りでボタンの位置と番号を示していました。これでは(コントローラーの)上下が子供に分かりにくいというフィードバックがありました。それを受け入れて分かりやすくするために変えました。数字なら子供にも上下が分かります。

中多 そのあたりは、再始動に当たりSIEとして配慮したところです。toioの対象年齢は6歳以上なので、子供たちが直感的に使えるデザインや仕様を意識しました。

正式版ではコントローラーのボタン形状が数字になっている。(写真:加藤 康)
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先行予約分ではコントローラーのボタンの位置を点々の出っ張りで示していた。(写真:日経 xTECH)
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田中 コントローラーをワイヤレス化してほしいという声もあり、検討はしましたが、充電の手間などを考えるとやはりケーブルは必要と判断しました。ただし、ケーブルの素材をもっと柔らかいものに切り替えるなどの変更は加えています。そういう細かい点も含めて、いろいろと対応しました。

中多 先行予約モデルのユーザー向けに正式版の体験イベントを実施したのですが、そこでもコントローラーの操作性は好評でした。ボタンも方向キーも操作性が非常に良くなったと。SIEはPlayStationを通じてインターフェースにものすごくこだわってきた会社なので、toioにもSIEができることを最大限に投入しています。

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