AI診断支援のオープンプラットフォームを開発、オリンパス

大腸に続き、胃や食道のAI診断にも対応へ

2019/03/13 18:30
伊藤 瑳恵=日経デジタルヘルス

 「消化器内視鏡を使った検査や治療においてAI活用を進めていきたい。特に診断支援の領域に注力したい」――。オリンパスは2019年3月13日に開催した「ICT-AIプラットフォーム技術戦略発表会」で、こう明らかにした。

診断支援ソフトウエアの使用イメージ。病変の可能性が高い部位が囲われている
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オリンパス 医療マーケティング本部 内視鏡イメージマーケティング部 部長の山田貴陽氏
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 ICTやAIの医療応用が進んでいる。そんな中、消化器内視鏡の領域において、とりわけ医師から高い期待を寄せられているのが、「AIを活用した診断支援技術だ」と発表会に登壇したオリンパス 医療マーケティング本部 内視鏡イメージマーケティング部 部長の山田貴陽氏は言う。

 それを受けて、同社が力を入れているのが、AIを活用して医用画像を定量的に解析し、医師による診断を支援するComputer Aided Diagnosis(CAD)技術の開発である。CADは、病変を検出する「コンピューター検出支援(CADe)」と、検出した病変から疑われる病名を提示する「コンピューター支援診断(CADx)」の2つに分類できる。

 CADeの一つが、2019年3月8日に発売した内視鏡画像診断支援ソフトウエア「EndoBRAIN(エンドブレイン)」だ。大腸の内視鏡画像をAIで解析し、ポリープが腫瘍であるか判定するソフトウエアで、内視鏡分野のAI活用製品として国内で初めて薬事承認を取得した(関連記事12)。このほかにも胃や食道の領域でCAD開発を進めているという。

「CADオープンプラットフォーム」イメージ
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 今後、さまざまな企業がCADのアプリケーション提供に乗り出すと、医師が複数のCADアプリを準備しなければならなくなってしまう。そこでオリンパスが開発したのが、「CADオープンプラットフォーム」だ。オリンパスの消化器内視鏡システムに接続するだけで、複数のCADアプリを切り替えて使用することができる。複数のパソコンや接続機器は必要ない。

 例えば、EndoBRAINは超拡大内視鏡を使って血管模様や細胞核の大きさの違いから腫瘍かどうかを判断しているが、今後は違う指標を使って検出・診断の支援を行うCADが登場する可能性がある。CADオープンプラットフォームによって、さまざまなCADの結果を医師が統合的に判断し、診断に役立てられるようにしたい考えだ。今後は、製品化に向けて法規制への対応や、パートナーとの協業を進めていきたいとしている。

教師データを増やしたら、新たに薬事申請

 CADを開発するには、さまざまな医用画像の情報をAIに学習させる必要がある。EndoBRAINの場合は、2018年12月に6万9142枚の画像を学習させて医療機器として初めて承認を受けた。その後、2019年2月25日の記者会見では、教師データとなる画像を9万6670枚に増やした状態で、改めて申請を行っていることを明らかにしている。

教師データとして学習させる画像の一例
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 現状では、データをアップデートすればするほど申請のコストがかかってしまう懸念がある。AIは学習させるほど精度が向上するため、「アップデートの解釈については行政と連携を進めていきたい」(同社 医療開発企画本部 チーフディレクターの正治秀幸氏)とした。