帝王切開の傷、「放っておいたら良くなるの?」

 周産期うつの疑いのある利用者を医療機関につなげたエピソードもある。開発中のβ版を提供していたときのことだ。気分が落ち込んでいるという20歳代の女性から電話相談があった。第2子を出産して3カ月たった頃だという。

 気分が落ち込んでいるようだったが、電話を受けた医師は今すぐ自身に危害を加える恐れはないと判断。「明日でも明後日でも、いつでも連絡くださいね」と伝えた。

画面イメージ(提供:Kids Public)
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 4日後に再び電話がかかってきて、「日中死にたい気持ちになることがある」とはっきり言われた。そこで、周産期うつのチェック指標として使われる「EPDS(エジンバラ産後うつ病質問票)」のテストをチャットで実施したところ、危険度が高いスコアが出たという。

 放っておいては危ないと判断した医師は、出産した医療機関を尋ね、一度その病院を受診してはどうかと提案した。相談の電話を切った後、医師は「〇〇さんが受診するかもしれない」と病院に一報を入れた。EPDSのスコアを伝えたことで、病院側も危険性を認識してくれたという。2度目の電話がかかってきてから3日後、相談者は病院でうつ状態だと診断され、治療を開始した。産婦人科オンラインで危険を察知したことで、早期の治療につなげられたというわけだ。

 実は、現在までに寄せられた相談のうち、周産期うつが疑われるようなものはごく一部だという。しかし、どんな相談内容であっても小さな不安や疑問を打ち明けられる場があることで「周産期うつの予防につながるのではないか」と重見氏は見ている。

 オンラインならではの利点もある。帝王切開後の女性から、「産後2カ月たつが傷の治りが良くない。放っておいても良くなるのか」と相談が寄せられた。相談者の了承を得て傷口の写真を送ってもらったところ、傷口が膿んでいる可能性が考えられたという。写真を見る限り治りかけというよりも悪くなっていると考えられたため、「現在も赤みと痛みがあるのなら、1日も早く受診した方が良いですよ」とアドバイスすることができた。