三菱電機が電動車両向けのモーターやインバーターの事業を強化する。新工場をチェコに建設することを決め、2020年4月に稼働させる。同時期に新型の駆動用モーターの投入も計画。磁石を左右非対称に配置したのが特徴だ。次世代のインバーターも用意しており、「フルSiC」品を2024年度以降に事業化する見通しである。

現行品はチェコの新工場で増産へ

 同社は電動車両向けのモーターやインバーターの量産を2017年に始めた。マイルドハイブリッド車(HEV)向けのISG(モーター機能付き発電機)で、インバーターと組み合わせてシステムとしてドイツ・ダイムラー(Daimler)に供給している。採用車種は旗艦セダン「Sクラス」などだ(図1、2)。

図1 48Vマイルド・ハイブリッド・システムを搭載するDaimlerのセダン「Sクラス」。(撮影:日経Automotive)
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図2 三菱電機が量産している48VマイルドHEV向けISG。DaimlerのSクラスなどが採用する。(撮影:日経Automotive)
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 現在は国内工場で生産して欧州まで運んでいるが、「欧州での需要拡大が見込まれている」(三菱電機)ことから新工場の建設を決めた。チェコの自動車機器製造・販売拠点であるMitsubishi Electric Automotive Czech s.r.o.(MEAC)に新ラインを構築し、48VマイルドHEV向けISGを中心に生産する。投資額は約12億円である。

 ISGは、スターターとして加速時のトルクアシストや、発電機(ジェネレーター)として車両減速時の回生などの役割を担う補助モーターである。モーターの出力は10k~20kWと小さい。三菱電機は今後、HEVや電気自動車(EV)の駆動用モーターの領域に事業を広げる戦略だ。

駆動用モーターを初披露

 出力が50kWを超える電動車両向けの駆動用モーターの市場には既に、多くの競合が存在する。厳しい受注競争の武器として、三菱電機はモーターの出力密度を高める技術の開発に注力する。

 2019年2月に開いた研究開発成果披露会で、2020年度以降の事業化を見据えた駆動用モーターを初めて展示した。2モーター式HEV向けで、駆動用と発電機用の2つのモーターを備える。SiCインバーターを内蔵するパワーユニットと組み合わせて提案した(図3)。

図3 2019年2月に披露したモーターとパワーユニット(撮影:日経Automotive)
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