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 「この実証実験は自動運転時代が訪れたときの下地となる」。ソフトバンクとトヨタ自動車が共同出資して設立したMONET Technologies(モネ・テクノロジーズ)の宮川潤一社長兼CEO(最高経営責任者)は2019年3月6日、愛知県豊田市との業務連携締結式でこう宣言した。同社はITを活用して利便性の高い移動手段を提供するMaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)を手掛ける。

業務連携協定を締結した愛知県豊田市の太田稔彦市長(左)とMONET Technologiesの宮川潤一社長兼CEO(最高経営責任者)
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 MONETは三菱地所などと実証実験を手掛けてきたが、自治体との連携は初めて。記者会見で宮川社長は「自動運転の時代が来る少し手前までに、あらゆる基礎データを蓄積する必要がある」と話した。現在は、既存のクルマで実現できる範囲で各種のサービスを試したりデータを収集したりといった経験を重ねる時期と位置付ける。

 「海外のライドシェアから生まれたモデルを日本独自の環境に合わせたシステムをつくろうと取り組んでいる」(宮川社長)。豊田市を皮切りに2019年中に20の自治体で実証実験を手掛け、今後3年間で100自治体まで増やす計画だ。

山間部の乗り合いバス、スマホアプリで乗り降りする停留所を決定

 豊田市で2019年2月27日に始めた実証実験は、区域内を予約に応じて運行する乗り合いバス「おばら桜バス」をスマートフォンのアプリから予約できるようにするという内容だ。運行地域は豊田市北部に位置する小原地区(旧・小原村)内である。山間部に当たる同地区は面積が74.5平方キロメートルで、人口は3615人。地区内165カ所のバス停から乗り降りする停留所を自由に選んで予約できる。

おばら桜バスは5人乗りのプリウスアルファ2台を使用する
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 これまで乗り合いバスの利用者は予約センターに電話して利用する日時と乗り降りするバス停を伝えていた。実証実験では、スマホアプリに表示される地図上で乗車するバス停と降車するバス停を指定し、乗車時間を選ぶだけで予約が済む。アプリから寄せられた予約情報はバスの車両内のタブレット端末経由でドライバーに伝わる仕組みだ。

 MONETはバス利用者向けのスマホアプリのほか、運転者に予約情報や推奨ルートを伝えるドライバー向けアプリ、運行会社向けの運行管理アプリの3つを提供する。予約情報を受け付けて通知したり、車両から集めた運行情報や携帯電話基地局から集めた人の移動情報などを蓄積したりするシステム基盤もMONETが提供する。

乗降するバス停を地図から選んで予約できるスマホアプリ
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