新技術を開発したが、適用分野が見つからない――。新技術を活用した事業創出でよく聞く悩みだ。パナソニックの社内カンパニーで、車載機器などを開発するパナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズ(AIS)社もそんな1社だった。

 人体を通信媒体として利用する「人体通信」を長く研究していたが、なかなか商用化できなかったのだ。ところが、そんな状況は一変。他社との協業で、新サービスを開発。婚活パーティーに適用して、効果を上げているという。

 新サービスの名称は「HiT」。人体通信を利用することで、対人コミュニケーションを円滑にするITシステムの構築サービスだ。大企業の新事業開発を支援するQUANTUMと共同で2019年2月14日に発表した。HiTの提供主体はQUANTUM、パナソニックAIS社は技術協力という役割分担だが、事実上は両社で共同開発したサービスである。

 パナソニックAIS社の荒井雅利メカトロニクス事業部事業開発センター所長は人体通信について「松下電工時代から15年以上研究してきた技術だが、適切な用途がなかなか見つけられず、商用化で苦戦していた」と話す。

パナソニックAIS社の荒井雅利メカトロニクス事業部事業開発センター所長
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 人体通信には複数の方式があるが、HiTに使うのは、人体の周囲に発生させた電界を媒介にデータをやり取りする電界方式と呼ばれるやり方である。

 仕組みはこうだ。データの送信者は、送信機の機能を持つ腕時計型のデバイスを身に着ける。この送信機には電界を発生させる機能とデータを送信する機能がある。一方、データの受信者は受信機を装着する。受信機には、電界の発生機能とデータの受信機能がある。

 電界を発生させた人同士が、握手やハイタッチをすると、手の周りに生じた電界を介してあらかじめ決められたデータが送信機から受信機に送られる。ちなみにデバイスのソフトを入れ替えることで、双方向に通信することも可能で、デバイスの形状は腕時計型でなくてもよい。電界方式の人体通信によるデータの伝送速度は数kビット~10Mビット/秒だ。

電界方式の人体通信の仕組み
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人体通信をきっかけに会話を盛り上げる

 HiTの第1号ユーザーは結婚相談所のツヴァイ。同社が主催する婚活パーティーで、参加者同士のコミュニケーションを活性化させるために人体通信を使った。「通常のパーティーよりもカップル誕生率が高まっている」(ツヴァイ広報)。

ツヴァイの婚活パーティーの様子
(出所:ツヴァイ)

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