デンソーの半導体子会社、エヌエスアイテクス(NSITEXE)は自動運転車向けの新型プロセッサー「データ・フロー・プロセッサー(DFP)」の用途を広げる。これまでは自動運転車に必要とされる「知覚」「認知」「判断」「操作」のうち、「判断」に向いていると説明してきたが、「知覚」に相当するセンサーフュージョンや、「認知」に当たるニューラルネットワーク処理にも使いたいといったユーザーの声に応える。

 DFPは、GPUと同等の性能を約1/10の消費電力で実現することを目指した新型プロセッサー(関連記事)。多数の演算器を搭載し、ハードウエア制御のスケジューラーによってスレッドや命令の順番を最適化することで演算器の稼働率を高め、処理を高速化する。自動運転車の「判断」では、複雑な処理を数十マイクロ~1ミリ秒で実行する必要があり、DFPが向いているという。

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DFPの特徴(出所:エヌエスアイテクス)

 しかし、DFPは汎用性が高く、「認知」におけるCNN(Convolutional Neural Network)などの処理にも使えるという。ただ、CNNの処理に特化した論理回路(専用IP)に比べると、「性能/電力比が10~20%ほど低くなる可能性がある」(同社取締役兼CTOの杉本英樹氏)ことから、これまでこうした用途についてはあまりアピールしてこなかった。

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中央がエヌエスアイテクス社長兼CEOの新見幸秀氏、左が取締役兼CTOの杉本英樹氏、右が開発部 プロセッサ開発室 室長の阿部信氏(日経 xTECHが撮影)

 ところが、実際にユーザーの声を聞いたところ、CNNの処理だけをずっとやるのではなく、「例えば、時分割でCNN処理を一定期間行なった後、その他の時間は別の処理をしたいといった要求が、想定よりもかなり多かった」(同氏)という。専用IPではCNN処理しかできないが、DFPならさまざまな処理に対応できる。この特徴が注目されているようだ。

 こうした背景には、AI技術が発展途上にあり、「ニューラルネットでやれることが意外に多くない」(同氏)という事情もある。例えば、自動運転車の進路を決める「パスプランニング」は、本来はニューラルネットを活用できるはずだが、動作検証や安全性の確保が難しく、ルールベースのアルゴリズムに頼っている事例が多い。このため、現状では半導体にはさまざまな処理に対応できる柔軟性(汎用性)が求められているようだ。

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