日立製作所と東京海上日動火災保険が、互いの強みを生かして全く新しいサービスを開発した。日立はIoT(インターネット・オブ・シングズ)とAI(人工知能)でプラント設備の故障を予兆するだけでなく、点検費用も支払う。下支えするのは東京海上日動の新たな保険だ。

 両社は2019年1月、石油化学プラント事業者向けに、日立の予兆診断サービス「ARTiMo(アルティモ)」と、予兆を基に事故を未然に防ぐために講じたコストを補償する付帯サービスを組み合わせたサービスの販売を始めた。

 日立は顧客のプラント設備に配置したIoT機器から得た稼働データなどをARTiMoで分析し、故障を予知すると数百万円を上限に臨時点検費用を顧客に支払う。この費用は後ほど、東京海上日動が保険金として日立に支払う。東京海上日動がIoTやAIを使って判明した事故の予兆への対応費用を補償する新しい保険を開発し、日立と契約を締結しているからだ。

日立が故障を予測した場合、東京海上日動の保険で故障を未然に防ぐ臨時点検の費用を賄う
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 セットサービスの料金は個別見積もり。大規模プラントの場合だと1回数百万円とされる臨時点検費用の大半が賄える代わりに、通常のARTiMoより割高とみられる。

 両社は3~5年以内に数十社からの採用を目指す。IoTとAIを駆使して、修理費用や点検中の休業費用まで補償範囲を広げた保険を共同で開発することも検討中。両社は一連の新保険を「IoT保険」と呼んでいる。

思惑一致、「共創」へ

 セットサービスを展開する日立の狙いはIoT基盤「Lumada」の事業拡大だ。Lumadaは鉄道事業や電力事業向けのOT(オペレーショナルテクノロジー)と情報システム向けのデータ処理・分析技術などのITをひとまとめにしたソリューション製品群である。

日立製作所が昭和電工と共同開発した予兆診断サービス「ARTiMo(アルティモ)」の画面例
(出所:日立製作所)
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 日立は個別の顧客に導入したLumadaシステムに成果が認められると、汎用品化してLumadaのラインアップに組み込んでいる。ARTiMoも昭和電工と共同開発したものだ。稼働データをAIの一種である「ART(適応共鳴理論)」で解析するため、一般的な予測モデルや人の判断では見分けにくい異常が分かるという。

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