センサー内蔵の超精巧な人体モデルをどう使う?

脳神経外科や眼科の手術シミュレーションや医療機器開発に

2019/02/20 06:00
伊藤 瑳恵=日経デジタルヘルス
出典: ,日経メディカルOnline、2019年2月19日 , (記事は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります)

ヒトの生体構造や臓器や組織の物理特性を再現し、センサーを搭載した人体モデル「バイオニックヒューマノイド」の開発が進められている。既に脳神経外科と眼科に特化したモデルが開発され、手術シミュレーションやロボットアームの開発に役立てられている。近い将来、専門医の実技試験を「バイオニックヒューマノイド」で行う時代がやってきそうだ。

「スマートアームが実用化できれば脳外科手術が変わるだろう」と話す東京大の齊藤延人氏(右)とプログラム・マネージャーを務めた同大の原田香奈子氏(中央)、頭部3次元CGデータを開発した東京大の金太一氏(左)。

 バイオニックヒューマノイドは、ヒトや実験動物の代わりになる人体モデルとして、内閣府の革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)で、2016年2月~2019年3月に開発が進められたもの。これまでに脳神経外科領域と眼科領域用のバイオニックヒューマノイドが開発された。プログラム・マネジャーは東京大学大学院工学系研究科准教授の原田香奈子氏が務めた。

 バイオニックヒューマノイドの特徴は、組織の構造や粘弾性、質感をヒトに近づけ、内部にセンサーを搭載した点。プロジェクトメンバーの1人である東京大学医学部附属病院長で脳神経外科学教授の齊藤延人氏は、「センサーを内蔵することで、手術手技の巧拙を定量的に測定できる」と強調する。手技の定量化が進めば、熟練者による手技を目標値に設定してトレーニングを繰り返すことも可能になる。

 脳神経外科領域で開発されたのは、鼻腔と下垂体、頭蓋底を再現した脳モデル「Bionic-Brain」(写真1、2)。下垂体腫瘍や頭蓋底腫瘍に対する経鼻内視鏡手術をシミュレートするための頭部モデルで、実際の手術環境に近づけるため、首の角度を変えられるようになっている。

写真1 鼻腔と下垂体、頭蓋底を再現した脳モデル「Bionic-Brain」の内部
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写真2 「Bionic-Brain」を対象にした「スマートアーム」による経鼻内視鏡手術のデモンストレーション
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 頭部の解剖構造を再現するに当たっては、献体や教科書を参考にして作成された頭部3次元CGデータを“設計図”として用いた。従来の人体モデルはCTやMRIなどの画像データを基に作られており、三叉神経は再現できていなかったが、Bionic-Brainでは三叉神経も再現できた。なお、3次元CGデータは東京大学の齊藤氏や東京大学医学部脳神経外科助教の金太一氏らの研究グループが開発し、非商用の研究や教育の用途に限って無償提供されている。

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