「日本の状況は米国との差があまりに大きい。差を縮めるために日本のビジネスをリローンチ(再発進)し、底上げを図る」。クラウドERP(統合基幹業務システム)大手、米ワークデイ(Workday)日本法人の鍛治屋清二社長は決意を語る。

ワークデイ日本法人の鍛治屋清二社長
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 同社は2019年2月14日、日本市場における巻き返し策を発表した。「間接販売の開始」「会計機能の提供」「知名度の向上」の3本柱だ。一連の方策により、同社顧客の中核を成す日本のグローバル企業を2022年度(2022年1月期)までに現在の3倍強の100社まで増やす目標を打ち出した。

市場定着に失敗、4年たっても「知る人ぞ知る」

 ワークデイは人事や会計といったERPの機能をSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)「Workday」として提供している。通常の人事管理に加えて、経営戦略に基づいて社員の採用や評価、育成、配置といったタレントマネジメントを効果的に進める機能を提供するHCM(Human Capital Management:人財マネジメント)に強みを持つ。「ワークデイはクラウドHCM分野では欧州SAP、米オラクル(Oracle)とともに全世界の市場をけん引する会社だ」とガートナージャパンの本好宏次リサーチ&アドバイザリ部門バイスプレジデントは話す。

 米本社の業績は好調だ。2018年度(2018年1月期)の売上高は21億4300万ドル(約2400億円)と、過去3年間で売り上げを3倍弱伸ばした。2019年度(2019年1月期)も好調を維持し、売上高は約27億ドル(約3000億円)に達する予測だ。全世界で2400社が同社のSaaSを導入しており、「米国ではクラウドERPを選ぶ際にごく当たり前の選択肢となっている」(鍛治屋社長)。

 ところが日本は米国と状況が大きく異なる。2015年に人事関連の「Workday HCM」の提供を本格的に始めたが、4年たっても「知る人ぞ知る」存在のままだ。大塚製薬や日産自動車、ファーストリテイリング、日立製作所といった大手企業が顧客に名を連ね、「日本法人の売り上げは右肩上がりで伸びている」(鍛治屋社長)。にもかかわらず、米国のように「当たり前」の選択肢には程遠い。

 日本では500社が導入しているものの、大半は外資系企業の日本法人だ。主体的にWorkdayを選んで導入した日本企業は30社にとどまる。

 ワークデイのSaaSは人給(人事・給与)の管理中心のシステムと異なり、人材リソースを経営改革に生かすためのツールだ。「保守的な人事部門は必要性がピンと来にくいのではないか」(ガートナージャパンの本好バイスプレジデント)。欧米と日本では人事・評価制度に異なる点が多く、欧米製のHCM製品が日本企業に適さない面もある。

 制度の違いを差し引いても、もっと日本市場に食い込めるはずだとの思いがワークデイにはあった。そこで2018年1月、ロブ・ウェルズ(Rob Wells)氏が日本法人の社長に就任。オーストラリアやニュージーランドのHCM市場を切り開いた実績を生かし、日本法人を立て直す土台作りを進めた。鍛治屋氏を次の社長としてスカウトしたのはその一環だったという。

 鍛治屋氏はCAD(コンピューター支援による設計)など主にエンジニアリング向けアプリケーションを扱う外資系企業の経験が長い。社長業を23年間務めており、「前職のダッソー・システムズでは400億円のビジネスを手掛けていた」(鍛治屋社長)という。「日本のHCM市場は立ち上がったばかり。市場を理解し、立ち上げて定着させるやり方を知る人間が必要だと言われた。その裏返しが以前の日本法人だったのではないか」と鍛治屋社長は見る。

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