「真面目で固い研究者が多いため、全く新しい領域の発想力が弱い。そこで、オフィス環境を変えて創造力を高めることにした」──。ジェイテクトが、イノベーションを生み出す研究施設「JTEKT R&D INNOVATION CENTER Kariya」を愛知県刈谷市にある東刈谷事業場内に新設した(図1)。その狙いを、同社の執行役員研究開発本部本部長技術本部先行開発センター副センター長の林田一徳氏は冒頭のように表現する。

図1 ジェイテクトが新設した研究施設
イノベーションを生み出せるオフィス空間に設計した。(写真:日経 xTECH)
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 新しい研究施設には、明るく開放感があり、華やかな色使いのオフィス空間が広がる。研究者同士のコミュニケーションを促進し、アイデアの発想から試作、評価までを素早くこなすアジャイル開発を支える環境や設備を整えた。これにより、ジェイテクトは「『もの』から『こと』への価値創造の発想力を高める」(林田氏)という。

 オフィスの設計では内田洋行と組み、イノベーション力に定評がある企業の研究開発オフィスを参考にした。「デンソーやパナソニック、ダイキン工業などの製造業の他、東京・六本木にあるグーグル日本(グーグル合同会社)のオフィスにも3度訪れて参考にした」(同社研究企画部部長の桑原寛文氏)。

図2 新しい研究施設の全体レイアウト
10個のエリアで構成されている。(出所:ジェイテクト)
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 新しい研究施設は 10個のエリアから成る(図2)。[1]エナジーウオールエリア、[2]マグネットサークル、[3]ディスカッションエリア、[4]ファブラボエリア、[5]プロジェクトエリア、[6]融合エリア、[7]AIエリア、[8]実機検証エリア、[9]集中エリア、[10]共同研究エリア、である。以下、順に見ていこう。

図3 エナジーウオールエリアにある個人ロッカー
フリーアドレス制で、自由な席に着ける。仕事に必要なものだけ持ち歩く。(写真:日経 xTECH)
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 [1]のエナジーウオールエリアは、新しい研究施設にとって玄関のような位置付けだ。新しい研究施設は個人の席が固定されていないフリーアドレス制で、研究者は空いているデスクを自由に使える。出社すると、研究者は自分に割り当てられたロッカーに荷物を収めた後、パソコンや資料など仕事に必要なものだけをバッグに入れて持ち歩く(図3)。ロッカーの各扉には自己紹介カードを貼り付けている。ここに各研究者の専門分野や得意なこと、趣味嗜好などのメッセージを記載することで、研究者同士のちょっとしたコミュニケーションのツールとして使う。

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