「英国が欧州連合(EU)から合意なしで離脱した場合、当社への影響は避けられない。事前の対策としては、在庫を積み増すことぐらいしかない」。トヨタ自動車執行役員の白柳正義氏は、2019年2月6日に開いた2018年度第3四半期累計(2018年4~12月)の連結決算会見で、同年3月末に迫る「合意なきブレグジット(Brexit)」への対応についてこのように述べた(図1)。

図1 トヨタ執行役員の白柳正義氏
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 同社は英国に、「Toyota Motor Manufacturing(UK):TMUK」のバーナストン(Burnaston)工場という完成車工場を持つ。中型車の「アベンシス(Avensis)」や「オーリス(Auris)」などを生産しており、年産能力は約18万台である。

 合意なきブレグジットが現実になると、英仏間で税関検査や手続きが必要になる。港湾周辺の道路の大渋滞によって物流に混乱が生じ、部品の調達に支障が出る恐れがある(図2)。

図2 TMUKのバーナストン工場
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 トヨタ副社長の友山茂樹氏によると、バーナストン工場では毎日約600台の車両を生産しており、取引先の部品メーカーが毎日、約200万個の部品を納入しているという。

 同社の生産方式は、部品在庫をできるだけ持たないのが基本。バーナストン工場の場合、「在庫は4時間分しかない」(友山氏)と明かす。合意なきブレグジットの影響によって、これらの部品が1つでも調達できない事態になると、工場の生産ラインが止まってしまう(図3)。

図3 トヨタ副社長の友山茂樹氏
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 英国政府はこのほど、EUと合意できずに離脱する場合、英仏間の税関検査を簡略化する方針を決めた。ただ、検査の簡略化は離脱から1年間の時限措置であり、離脱の影響を完全に防げるものではない。

 白柳氏と友山氏は、「在庫を積み増すといった事前の対応をしても、何らかの影響は避けられない。合意なき離脱だけは回避してほしい」と強調した。また、同工場における一時的な生産休止や生産体制の見直しなどは、「現時点では考えていない」(白柳氏)という。

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