ZOZOは2019年1月31日、通期連結業績予想の下方修正を発表した。売上高は前期比19.9%増の1180億円、営業利益は同18.9%減の265億円。従来は増収増益と予想していたが、増収減益予想へと変更した。プライベートブランド(PB)事業が想定通りに伸びなかった。無料配布した計測用のボディースーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」のコストをまかなえなず、下方修正となった。1998年の創業以来初の減益。前沢友作社長は何を見誤ったのだろうか。1つの大きな誤算から徐々に歯車が狂っていった。

 31日、2019年3月期第3四半期決算の発表に立った前沢社長はその誤算を認めた。ゾゾスーツを「着てもらえない」(前沢氏)。その結果、PB商品の売り上げにつながらなかったというシンプルな構造だ。

  当初ゾゾスーツは無料で600万〜1000万枚を配布する計画で、これまではその配布枚数が約100万枚に上っており、順調であることを強調していた。2018年11月の第2四半期決算発表会では、その配布枚数の計画を300万枚程度に下方修正したが、あくまで計測技術の向上によって、ゾゾスーツがなくても適切なサイズを提供できるようになったためとの説明だった。一方、今回前沢氏は「配っても計測してくれる人が想定より少なかった。それに気づき配布計画を見直した」と実情を吐露した。

販売計画の根拠に無理

 ZOZOは中期計画で2018年度のPB商品の売上高を200億円としていたが、その数字については初めから疑問符がついていた。同社が200億円の根拠に挙げていたのは2018年1月から配布を開始したゾゾスーツのコンバージョンレートだった。それも、現在のマーカー式のゾゾスーツではなく、センサー式の「前バージョン」のゾゾスーツでのレートだった。「ゾゾスーツを受け取った人の6割が実際に計測し、そのうち半数がPB商品を購入した」という当初の実績をよりどころとしていた。

 1人あたりの購入点数は2018年4月時点で2.5点、平均購入金額は7500円だった。ゾゾスーツの配布計画枚数は600万~1000万着を見込み、そろばんをはじいた。その時点で同社は旧型のゾゾスーツを何着発送したかを公表していなかった。そのため当初、アナリストの一部から、「仮に数百着だったとしたら、(2018年度で200億円という)数字の根拠にするには弱い」(外資系証券アナリスト)との指摘があった。

スマートフォンの前に立ち、360度回転しながらサイズを測る「ゾゾスーツ」
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 さらに、ZOZOが運営する衣料品通販サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」の年間購入者数は当時約720万人。それまでの年間購入者数の推移通りに伸びると仮定した場合、2018年度の年間購入者数は約820万人だった。年間購入者数をベースに考えた場合、200億円を達成するには年間購入者数の3割以上になる約270万人がPB商品を購入する必要があり、これは「かなりチャレンジングな数字」(外資系証券アナリスト)だったと言える。今回発表したPBの通期売り上げ見込みは30億円と計画を大幅に下回っている。

 ゾゾスーツの発表から、その後の仕様変更や商品製造における質の問題など様々な困難がZOZOを襲ったという「想定外」があったのも事実だろう。一方、これを想定内として織り込めなかったのは見通しの甘さとも言える。PBの好調を前提としたゾゾタウンの売り上げ向上という波及効果も見込んだが、蓋を開けてみればそれも絵に描いた餅だった。

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