アパレル大手オンワードホールディングス(以下、オンワード)が衣料品通販サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」からの退店を決めてから約1カ月。一部のブランドが出品を停止するなど波紋が広がったものの、その影響は一部にとどまった。

 ゾゾタウンを運営するZOZO(ゾゾ)とオンワードとの決裂は、ゾゾが2018年12月に開始した会員向け割引サービスがきっかけだった。ゾゾは2018年12月25日に有料会員サービス「ZOZOARIGATOメンバーシップ」を開始。年会費3000円または月会費500円を支払えば、ゾゾタウンでの買い物を常時10%割り引く。割引分は運営元のゾゾが負担するものの、価格決定権を巡ってブランド側が反発した。

 さらにゾゾタウンでの価格表示が割引価格を前面に押し出す形式だったことも火に油を注いだ。結果、ゾゾは価格表示についてアパレル企業が表示を選べるように仕様の変更をするなど対応に追われた。2019年2月にはアパレル企業側が表示方法を選択できるようにする見込みだ。

 一方、2018年12月以降、退店および出品停止を決めた企業やブランドは一部にとどまった。ゾゾタウンに出品する主なアパレル上場企業11社、非上場企業4社、計15社に聞いたところ、上場企業では1月現在出品を停止したのはオンワードとヨンドシーホールディングス2社のみ。TSIホールディングスは「マーガレット・ハウエル」など一部のブランドで出品を停止しているが「あくまで一時的な措置」(同社広報)としており、2019年2月に開始予定の価格表示の仕様変更が実装された後は出品を再開する可能性を示唆した。

 アパレル企業の中でもEC(電子商取引)での売り上げが高いとされるベイクルーズは、ゾゾタウンへの定価商品の出品を1月上旬から停止した。ゾゾタウンで「通常価格」と呼ばれる商品については、2019年1月現在表示されないようになっている。そうすることで定価商品の価格決定権は守りつつ、ゾゾタウンでの出品を続けている。

 あるブランドのEC担当者は、「表示形式を変えられる仕様になっても、現状の表示形式を続ける予定。それでどれくらい自社にメリットがあるか、冷静に判断してみたい」とマーケティング戦略の格好のステージと見る向きもある。

企業名 ZOZOTOWNへの出品状況
TSIホールディングス 2018年12月後半から一部出品停止
アダストリア 出品
オンワードホールディングス 2018年12月25日から出品停止
TOKYO BASE 出品
バロックジャパンリミテッド 出品
パルグループホールディングス 出品
ユナイテッドアローズ 出品
ヨンドシーホールディングス 2019年1月上旬から出品停止
ワールド 出品
ワコールホールディングス 出品
三陽商会 出品
ストライプインターナショナル 出品
ベイクルーズ 2019年1月上旬からすべてのブランドで定価商品出品停止
ビームス 出品
三起商行 出品停止
ゾゾタウンでの出品停止を判断した企業は一部にとどまる。表は各企業への聞き取りやゾゾタウンでの表示を調査した結果

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