定型的なパソコン作業を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)が一段と普及しそうだ。これまで基幹系システムのジョブ運用などを一括管理する統合運用管理ツールがRPAのソフトロボも管理対象に含めるようになってきたからだ。

 先駆けとなったのが日立製作所。2019年1月31日に出荷を始める「JP1」の新版「Version 12」でRPAツールとの連携機能を加えた。競合製品を出荷する他社に先駆けて「RPA対応」をうたい、JP1からソフトロボをスケジュールに沿って自動的に実行したり稼働状況を確認できたりするようにした。

ソフトロボの運用の責任は誰に

 調査会社アイ・ティ・アールが2018年10月に公表した調査によれば、RPAの国内市場は2018年度に前年度比2.5倍の88億円に増える見込みだ。年平均62.8%という急成長を続け、2022年度には400億円規模に達するという。働き方改革の取り組みと合わせてRPAの導入が進んでいる格好だ。

RPAおよびOCR市場規模推移および予測
(出所:アイ・ティ・アール)
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 RPAの導入用途として、日立の加藤恵理サービスプラットフォーム事業本部IoT・クラウドサービス事業部主任技師は「基幹系とやり取りするデータの前処理や後処理をソフトロボが担うケースが増えてきた」と話す。例えば調達部門や営業部門が紙の伝票やメールで送られてきた伝票画像をOCR(光学的文字認識)を使うなどして基幹系システムに入力する「前処理」や、基幹系システムが出力したデータを経理部門がExcelに取り込んで再編集する「後処理」である。

 RPA導入で利用部門の業務効率が高まりつつある一方で、議論が置いていかれているのは全体最適の視点だ。「RPAは適材適所で導入が進みやすく、部門によって異なるツールを導入するケースが多い。結果、前後処理を含めたシステム全体で運用を統率することが難しくなっている」と日立の加藤主任技師は指摘する。

 ソフトロボはWindowsといったOSやRPAツールが備えるタスクスケジューラーなどを使って実行のタイミングを制御する場合が多いという。「RPAツール各社は自社製品の枠を越えて運用を一元化する動きは少ない」(同)なか、RPAの導入が進むことで新たな課題が生じている。

 パソコンの電源が落ちてソフトロボが動いていない、ソフトロボが作った入力データに不備がある、お盆休みや年末年始など企業の事情によって変わる運用スケジュールがソフトロボに反映できていない――。基幹系システムの運用に影響を与える、こうしたソフトロボの運用上の不具合の責任を誰が取るのかという問題だ。日立の加藤主任技師は「RPA導入がPoC(概念実証)止まりになってしまう原因の1つが運用問題ではないか。事実、ソフトロボも含め、システム全体を一括して運用管理してほしいとの声が増えていた」と明かす。

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