AI(人工知能)が自分に似合う眼鏡を選んでくれる──。そんな店舗がJR上野駅構内に登場した。眼鏡販売大手のジンズが2019年1月25日にオープンした新店舗「JINS BRAIN Lab.エキュート上野店」だ。

 店名にある「JINS BRAIN」とは、ジンズが独自開発したAIである。店舗にある3枚の鏡「ブレインミラー」に同AIを組み込んでいる。

 店頭に並ぶ試着用の眼鏡をかけて、ブレインミラーの前に立つだけで、5秒もかからずに「似合っているかどうか」をAIが判定してくれる。ジンズはこれを「似合い度判定サービス」と呼ぶ。要は、AIを使った眼鏡のレコメンド機能である。

 ブレインミラーには眼鏡をかけた自分の姿と共に、「似合い度」のスコアが100点満点で表示される。表示が赤色と青色の2つがあり、赤色は女性から見た似合い度、青色は男性から見た似合い度を表している。女子目線と男子目線を分けることで、例えば男性客なら「女子ウケする眼鏡」を選べるというわけだ。

 筆者は普段から眼鏡をかけている。特別に、自分の眼鏡(ジンズの商品ではない)でブレインミラーを試させてもらった。すると男女ともに似合い度が80点を越えた。店員によると「80点以上のスコアはかなり似合っているとの判定」という。

独自AIを組み込んだ鏡「ブレインミラー」で、眼鏡の似合い度判定をしている様子
[画像のクリックで拡大表示]

 JINS BRAIN Lab.事業推進責任者である、ジンズ経営企画室の松浦亮介室長は似合い度判定サービスについて、「5秒ほどで結果が分かるスピードと、見た目が普通の鏡と変わらない判定装置にこだわった」と明かす。「デジタルサイネージのような装置は使われない可能性が高いと判断した」(松浦室長)。

JINS BRAIN Lab.事業推進責任者である、ジンズ経営企画室の松浦亮介室長
[画像のクリックで拡大表示]

眼鏡をかけた顔画像が教師データ、AIを自社開発

 ジンズは今回のAIを自社開発した。眼鏡販売店がAIを開発するのは意外に思えるが、眼鏡店だからこそできたとも言える。ディープラーニング(深層学習)を用いて、眼鏡がその人に似合っているかを判定するプロ店員の感覚を、コンピューターに学習させてブレインミラーを実用化したからだ。

 AIの学習に教師データは欠かせない。ジンズはまず従業員3000人分の眼鏡をかけた顔画像を延べ6万枚準備した。それを男性と女性の店員にそれぞれ見てもらい、似合っているかどうかをタグ付けしていった。これが機械学習の元データになっている。

 ここに眼鏡をかけた人の顔画像をどんどん追加しながら、機械学習を進めていった。ジンズは2016年からネット上で眼鏡の3D試着サービス「JINS VIRTUAL-FIT(ジンズ バーチャルフィット)」を提供してきた実績がある。ここでも眼鏡をかけた人の顔画像を3年がかりで収集し、現在までに約30万枚を蓄積した。それらも機械学習に使って、JINS BRAINのレコメンド精度を高めてきたという。

この先は有料会員の登録が必要です。今なら有料会員(月額プラン)が4月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら