米Analog Devices社(ADI)は、最大出力電流が10Aと大きい降圧型DC-DCコンバーターIC「LTC3310S」に採用した放射電磁雑音(EMI:Electro-Magnetic Interference)抑制技術である「Silent Switcher2」の詳細を明らかにした(関連記事)。Silent Switcher2を採用すれば、前世代の「Silent Switcher」に比べてEMIの放射レベルをさらに10dB削減できるという。加えて、外付けの積層セラミックコンデンサーを削減できるという副次的なメリットも享受できる。

 まずは、前世代のSilent Switcherについて説明しよう。Silent Switcherは、2つの技術から構成されている。1つは、入力コンデンサーの配置方法の工夫だ。一般にDC-DCコンバーター回路において、入力コンデンサーからハイサイドスイッチとローサイドスイッチを経由し、グラウンド面から入力コンデンサーに戻ってくる電流経路を「ホットループ」と呼ぶ。このループには、オンオフの切り替えが激しい高周波電流が流れるため、高いレベルのEMIの放射源になる。Silent Switcherでは、入力コンデンサーを2つ用意し、ホットループを2つ作る。このときホットループが完全に線対称になるように配置すれば、それぞれのホットループから放射されるEMIが打ち消し合うためEMIのレベルを抑制できる。「2つのホットループに流れる電流が作る磁界がそれぞれ結合し、エネルギーを局所的に閉じ込められる。打ち消すというよりも閉じ込めるに近いとイメージだ」(アナログ・デバイセズ パワーシステムズ ジャパン マーケット マネージャーの石井純氏)という。


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入力コンデンサーを2つに分割し、線対称の「ホットループ」を構成する。こうすることでEMIを閉じ込めて、放射レベルを低減する。ADIのスライド

 もう1つの技術は、DC-DCコンバーターチップの実装方法である。従来は、金属の細線を使ったワイヤーボンディングで、チップとリードフレームを接続していた。金属の細線は寄生インダクタンスが大きい。ここに高周波の電流が流れれば、高レベルのEMIを放射する。そこで、比較的太いCu(銅)ピラーを使ってチップとリードフレームを接続する方法を採用した。チップは、フェイスダウンで実装する。

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チップとリードフレームをCuピラー(図中のCopper Pillar)で接続することで、寄生インダクタンスを小さくし、EMIの放射レベルを抑えた。ADIのスライド

 こうした2つの技術を導入することで、Silent Switcherを採用する前に比べて、EMIの放射レベルを20dB程度削減することに成功した。

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