ヤマハ発動機は、2019年夏に台湾で電池交換式の電気自動車(EV)スクーターを発売する。現地で同ビジネスモデルを確立した台湾ベンチャーのゴゴロ(Gogoro)と組み、同社が手掛ける電池交換の仕組みを生かして開発スピードを上げる。他地域での展開も検討するが、「現在のスコープ(範囲)は台湾にとどまる」(ヤマハ発動機執行役員の木下拓也氏)とし、日本進出の見通しは立っていない(図1)。日本進出に慎重な背景には、ある課題が存在していた。

図1 ヤマハ発動機執行役員でMC事業本部長の木下拓也氏
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 木下氏は課題の1つとして「日本は国土が大きく、自社の能力を超えた莫大な額の投資が必要になる」ことを挙げる。電池交換の仕組み・プラットフォーム(PF)を整えるためには、各車両の1充電当たりの航続距離や、利用者の走行パターンなどを分析して、電池交換拠点の配置を検討する必要がある。国土が大きくなるほど分析が難しく、拠点数が増えることで投資額は膨らむ。

 Gogoroが収益化に成功している台湾は、本土面積が約3万6000km2と、日本の九州よりやや小さい。それでも「数百億円規模の投資が必要だったようだ」(木下氏)とみられ、Gogoroは台湾政府の後ろ盾を得て電池交換拠点を整備し、収益化を実現した。一企業の取り組みだけで同様の成果を出すことは難しい。

 ヤマハ発動機の2018年度(予想)の売上高は1兆6500億円で、営業利益は1430億円を見込む。向こう3年間の成長戦略経費として700億円を積むものの、電池交換拠点の整備のために数百億円以上を充てる余裕はない。Gogoroが手掛ける既存の仕組みを使って車両の開発費を抑えても、日本で電池交換拠点を整備するには新たな投資が必須となる。

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