ドイツBMWが2018年11月に国内発売した新型クーペ「8シリーズ」で、3眼カメラを採用したことが分かった(関連記事1)。ドイツZFの3眼カメラ「TriCam」とみられる。3種類のカメラで近距離、中距離、長距離の撮影を分担する。自動ブレーキや自動運転向けのフロントカメラとして、これまでの単眼、ステレオに加え、3眼が広がる可能性が出てきた。3眼はカメラのカバー範囲が広いほか、冗長性も高いことから、自動運転に有効な手法といえる。

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BMWの新型クーペ「8シリーズ」と、3眼カメラ

 3眼カメラは、米テスラ(Tesla)や中国のEVベンチャー、上海蔚来汽車(NIO)が採用している。Teslaは2016年10月に発表した第2世代のハードウエア構成「Hardware 2」で採用した。同社の小型電気自動車(EV)「モデル3(Model 3)」など、Hardware 2以降のモデルはすべて3眼カメラを搭載する(関連記事2)。

 NIOは2017年12月に発売した「ES8」に3眼カメラを搭載した(関連記事3)。なお、3眼カメラはコストの高さが課題とされており、現状では高価なクルマにしか使われていない。BMWの8シリーズクーペは1714万円から、NIOのES8は約762万円(44万8000元)から、Teslaのモデル3は約519万円(4万6000ドル)からとなっている。

 BMWが採用した3眼カメラは、ZFが米インテル(Intel)子会社のイスラエル・モービルアイ(Mobileye)と共同開発したTriCamとみられる。画角の異なるレンズを搭載した3種類の単眼カメラを1台のモジュールに組み込んだ。TriCamの検知距離は望遠カメラが約300m、標準カメラが約120m、広角(魚眼)カメラが約20mであり、広角カメラの視野角は約150度である。

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ZFの「TriCam」(出所:ZF)

 TriCamは、3台のカメラ映像を同時に処理するために、演算能力の高いMobileyeの画像処理プロセッサー「EyeQ4」を搭載する。EyeQ4は、ドイツ・アウディ(Audi)が「A8」で採用した「EyeQ3」に比べて約8倍となる2.5TOPS(毎秒2兆5000億回)の演算能力を持つ。なお、NIOは3眼カメラの部品メーカーを明らかにしていないものの、同じくEyeQ4を使っている。

 一方、Teslaの3眼カメラはEyeQ4を使っていないようだ。同社は第1世代のハードウエア構成「Hardware 1」ではEyeQ3を使っていた。しかし、2016年5月の「モデルS(Model S)」によるオートパイロット使用中の死亡事故をキッカケに、Hardware 2ではチップを米エヌビディア(NVIDIA)のGPUに変えたとみられる。

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Teslaの「Model 3」が搭載する3眼カメラと、検知距離

 Mobileyeのチップは、画像認識のアルゴリズムやソフトウエアを自動車メーカーが変更できない「ブラックボックス」として提供される。これに対し、NVIDIAのGPUは自動車メーカーがソフトを自由に変えられる「オープン」な構成が特徴である。

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