政府のIT政策が節目を迎えそうだ。行政手続きの電子申請を抜本的にてこ入れする「デジタルファースト法案(通称)」を、2018年10月下旬にも招集する今秋の臨時国会に提出する予定だからだ。

 これに先立ち、安倍晋三首相は10月2日に発足した第4次安倍改造内閣で、IT政策に携わってきた平井卓也衆議院議員を情報通信技術(IT)政策担当の内閣府特命担当大臣に起用した。法案の通過後にどう政策実行に移し、低調な電子行政の現状を打開できるかが、平井IT担当大臣が担う最初の大きな仕事になりそうだ。

第4次安倍改造内閣で起用された平井卓也IT担当大臣
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 シェアリングエコノミーやAI(人工知能)など新しい技術に対応した規制の見直しが停滞しており、ここにどう手を加えるかも改造内閣の課題だ。安倍政権は「岩盤規制の打破」を掲げ、「シェアリングを推進する」と旗を振る。しかし、民泊は法制化されたものの見直しの要望も強く、ライドシェアは事実上、全面的に禁止されたままだ。「シェアリングにブレーキをかけているのは政府だ」との指摘もある。

 規制の見直しは、平井IT担当大臣だけでなく国土交通省など各省を巻き込んだ政府全体の取り組みが欠かせない。技術と既存の制度がぶつかる領域で、何を重視して、規制を見直していくのか。規制打破を掲げた安倍政権の真価が問われる。

電子行政、全申請のオンライン化では不十分

 行政手続きの電子申請の現状を端的に言うと、「低調」で「使い勝手が悪い」である。

 電子申請に対応した手続きは中央官庁で9割を超えるなど、地方自治体も含めて日本の電子化対応率は高い。しかし、電子申請に対応してから10年以上たつ社会保険や労働保険において、電子申請の割合は2016年度で13%と「低調」そのもの。普及が進まないので、2020年4月から規模など一定条件を満たす事業所を対象に段階的に電子申請を義務付けるとした。

 低調の背景には申請書の本体はオンラインで提出できるのに添付資料を郵送する必要があるなど、中途半端さが残り、使い勝手が悪い実態がある。住民票や戸籍謄本、支払い証明を必要とする手続きには添付書類を郵送する手続きが複数ある。自動車保有関係の手続きも取得価格によっては、売買契約書の写しなど取得価額を証明する書類を求める自治体がある。飛ぶことは飛んでいるが低空飛行といえるだろう。

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