銀行に続き、保険でもITインフラにパブリッククラウドを導入する企業が増えている。ソニー生命保険はその1社だ。2018年8月30日、米マイクロソフトのパブリッククラウド「Microsoft Azure」を使い、顧客からの電話対応などでオペレーターが利用するカスタマーセンターシステムを刷新したと発表した。

 新システムはAzureとオンプレミス環境のメインフレームから成るハイブリッドクラウドの構成を採る。メインフレームで動く米IBMのデータベース「Db2」に契約者情報やコンタクト履歴などを管理し、顧客管理などを担うAzureのWebアプリケーションとセキュアに連携する。

 データベースはそれまでオンプレミス環境の複数システムに分散しており、「顧客ごとの過去の対応履歴を調べるのに手間がかかっていた」(髙谷哲朗理事兼IT戦略本部副本部長)。システムの刷新に当たり、データベースをDb2に集約した。

ソニー生命が構築した新カスタマーセンターシステムの概要
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 システム刷新により、問い合わせ1件当たりの対応時間や入力ミスを減らしたほか、運用コストとして従来の3割減が見込めるなどの効果が得られた。「それぞれの処理がクラウドで動くため、リソースを追加しやすい。顧客向けのサービスを増やす場合も柔軟に対応できる」と高谷氏は話す。

 ソニー生命は「クラウドファーストの意識が高まった」(後藤聖央IT戦略本部副本部長)と評価する一方で、「オンプレミス(自社所有)環境にある全てのシステムをクラウドに移行できる段階ではない」(宇宿達也基盤システム統括部担当部長)と慎重な姿勢を崩さない。

FISC安全対策基準を満たすか検証

 システム刷新のきっかけは2015年上期に始めたITインフラの構造改革だった。インフラコストの削減や構築期間短縮の方策を検討した結果、「オープン系のハードウエアで構築したWebシステムを全てクラウドに移す方針を決めた」(後藤氏)。移行対象の第1弾として選んだのがカスタマーセンターシステムだ。

 2016年8月にコスト削減効果の概算整理などを実施し、2017年度中にクラウド共通基盤を構築する構想を決めた。クラウドを活用する際の課題として、金融情報システムセンター(FISC)が定める安全対策基準などへの準拠が浮上した。「当時は金融機関でのクラウド活用があまり進んでおらず、FISC安全対策基準を満たせるのかどうかという懸念があった」と後藤氏は振り返る。

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