ルネサス エレクトロニクスは、マイコンや車載SoCなどに向けて設計してきた回路ブロック(いわゆるIP(Intellectual Property)コア)を外販することを発表した(関連記事)。先端プロセス開発レースから降りて久しい同社にとって、設計は差異化の源泉のハズ。その結果を売ってしまって大丈夫なのか。IPコア事業の狙いを、同事業を率いる矢田直樹氏(インダストリアルソリューション事業本部 共通技術開発第一統括部 技術ソリューション企画部 部長)に聞いた。

IPコアの需要が旺盛に。ルネサスのスライド
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 矢田氏によれば、IPコア事業は半導体メーカーのルネサスにとって新たなチャンスだという。これまでは、差異化の源泉である"設計"の結果をチップとして売ってきたが、今後は、設計結果をデータとして売ることも行う。チップとして売るには、設計と製造に関連したコストを回収できる個数の製品に限定されてしまう。一方でデータを売るならば、設計に関連したコストを回収できればよいので、顧客の幅を広げられるとする。

 「例えば、ある顧客にとって機器の差異化につながるSoCがあるとしても、生産個数が少なければ、我々はチップ事業として行えない。一方で、IPコアならば顧客に提供が可能で、顧客のSoC開発コスト低減に寄与できる」(同氏)。矢田氏のこの発言を聞くと、ルネサスはIPコア事業と共にカスタムSoC(いわゆるASIC)の開発に力を入れるようにも思えたので、聞いてみた。

 「カスタムSoC事業に力を入れることはない。我々が提供するのは、IPコアである。我々のIPコアをはじめとして複数のIPコアをまとめたカスタムSoCを我々が設計することは考えていない。IPコアに関する技術サポートは行うが、SoC設計の主体は顧客自身や設計サービス会社などを想定している。また、製造はルネサスの工場ではなく、基本的にシリコンファウンドリーである」(同氏)。

 矢野氏によれば、IPコア市場の年間成長率は10%以上で、2025年には市場規模は約1兆円を見込むという。ルネサスは同市場で2025年に100億円以上の売り上げを目指すとしている。

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