日本全国にある国立大学の8割が過去3年間にサイバー攻撃を受け、うち3割で実被害が生じている。責任者や対策組織を置いてはいるものの、予算不足や人材不足に悩み、「学問の自由」の壁にも対策が阻まれている――。

(出所:123RF)

 日経xTECHと日本経済新聞は2018年8月、国立大82校を対象に共同調査を実施した。48校から得た回答から、こんな実態が見えてきた。国立大は国からの公的補助だけでなく、国や企業からの受託研究費も1校当たりでみると私立大学を上回る。企業との共同研究に臨む国立大も多数あり、企業にとっては他人事ではない。

86.8%が攻撃を受ける

 国立大を狙うサイバー攻撃の実態を把握するため、2015年4月~2018年7月に受けたサイバー攻撃を聞いたところ、「攻撃を受けた」と回答した国立大は有効回答38校のうち33校。割合は86.8%に上った。このうち実被害が発生したと回答したのは11校で、攻撃を認知した国立大の34.4%を占める。

3年強(2015年4月~2018年7月)で サイバー攻撃を受けたか(n=38)
情報漏洩や業務停止などの被害はあったか(n=32)※
※1校は無回答のため集計から除いた
調査概要

調査方法

日経コンピュータと日本経済新聞が共同で国立大学82校の広報部門に情報セキュリティ対策に関するアンケートをメールで送付し、セキュリティ対策を担当する部門への回答を依頼した。調査期間は2018年8月1~9日。48校から回答を得た。国立大学のうち、大学院大学4校は調査対象外とした

回答大学48校(文部科学省のWebサイト掲載順)

北海道大学、北海道教育大学、小樽商科大学、帯広畜産大学、北見工業大学、弘前大学、宮城教育大学、秋田大学、山形大学、福島大学、茨城大学、筑波大学、筑波技術大学、宇都宮大学、群馬大学、千葉大学、東京大学、東京外国語大学、東京工業大学、東京海洋大学、お茶の水女子大学、一橋大学、横浜国立大学、長岡技術科学大学、上越教育大学、富山大学、金沢大学、山梨大学、愛知教育大学、名古屋工業大学、滋賀大学、京都教育大学、大阪大学、大阪教育大学、兵庫教育大学、和歌山大学、島根大学、広島大学、山口大学、徳島大学、愛媛大学、高知大学、九州工業大学、熊本大学、大分大学、宮崎大学、鹿児島大学、鹿屋体育大学

 NRIセキュアテクノロジーズが2018年3月に調べた「NRI Secure Insight 2018」によると、日本企業107社のうち、サイバー攻撃の被害に遭った企業の割合は60.7%だった。国立大の34.4%という被害割合は少ないように見える。

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