Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureに続く、パブリッククラウドでのシェア獲得を目指し、中国発の「Alibaba Cloud」が日本でサービス強化を急いでいる。狙うはオンプレミス環境に構築した基幹系システムや業務システムといった企業システムの受け皿だ。オンプレミス環境の企業システムで定番の「Oracle Database」や「VMware」の移行先となるサービスを提供し、顧客獲得を目指す。

 Alibaba Cloudは、中国のEC(電子商取引)最大手であるアリババ集団が提供するパブリッククラウドだ。中国でECサイトの販売がピークになる「独身の日(11月11日)」に1秒間で32万5000件のオーダーを処理できる性能や、中国最大のECサイトを支えるセキュリティの高さを売り文句にしている。

 パブリッククラウドサービスとしてインフラ領域のほかに、ビッグデータ処理やAI(人工知能)関連など200種類以上のサービスを提供する。Alibaba Cloudは日本向けにも既に70種類以上のサービスを提供している。2019年1月までに中国で提供する全てのサービスを日本で提供することを目指す。

「Alibaba Cloud」の概要
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 世界的に見てAlibaba Cloudは急成長中だ。米ガートナーの調査によると2017年の世界のIaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)の市場シェアでAWSの51.8%、Azureの13.3%に続いて、シェア4.6%の3位となっている。4位はGoogle Cloudで3.3%だ。

 米ガートナーはAlibaba Cloudがシェア3位を獲得している要因について「研究開発への投資が成功している。財務的に投資できる力が十分にあり、世界的に拡大していくだろう」と分析している。

年内に日本リージョンにAZを追加

 世界で3位のシェアを持つとはいえ、日本市場ではまだ後発であるAlibaba Cloud。シェア拡大に向けてAlibaba Cloudが狙いを定めたのが、オンプレミス環境に構築した企業システムの受け皿としての採用だ。

 「これまでは中国に進出する日本企業の利用が中心だったが、企業システムのインフラとして打ち出すことで国内採用企業数を増やしていきたい」と日本でAlibaba Cloudのサービス開発や販売などを手がけるSBクラウドの奥山朋 技術部長は強調する。

 企業システム獲得に向けてAlibaba Cloudが拡充するのが、オンプレミス環境で構築したシステムで利用されている製品のクラウド提供だ。8月30日にはマネージドのデータベースサービス「ApsaraDB for RDS」で提供するDBの1つとして、Oracle Databaseの互換データベース(DB)「PPAS(Postgres Plus Advanced Server)」を追加した。

 PPASはPostgreSQLにOracle Databaseの互換機能を加えた米EnterpriseDBが開発したDBだ。「Oracle Database からの移行ツールも間もなく提供するので、オンプレミス環境からの移行の障壁を下げられる」と奥山部長はみる。

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