時には地球にいる医師が宇宙のロボットを操って宇宙飛行士を診察し、時には地球にいる科学者が宇宙のロボットを操って月面調査をする。反対に、宇宙にいる宇宙飛行士が地球のロボットを操って地上にいる家族とコミュニケーションを取る。このように、1台のロボットに対して複数人が操作を入れ替われるのが遠隔操作ロボットの利点だ。

地球にいる医師が宇宙のロボットを操って宇宙飛行士を診察するイメージ
(出所:ANAホールディングス)
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 宇宙飛行士の人数が限られる宇宙空間では、各分野の専門家をそろえることが難しい。地球からの遠隔操作が可能になれば、1台のロボットが複数の専門家を兼ねることができ、人手不足を解消するほか、宇宙飛行士が自らの専門作業だけに集中できるようになる。これらを実現するのが、ANAホールディングス(ANAHD)が取り組んでいる、分身となるロボットを遠隔操作する技術「AVATAR」である。

ANAHDが取り組む「AVATAR」の概要
(スライドはANAHDのデータ)
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 2018年9月6日には、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と連携し、遠隔操作ロボットを使用して宇宙開発を進める「AVATAR X Program(アバターエックスプログラム)」を開始すると発表した(関連記事)。ANAHD デジタル・デザイン・ラボ アバター・プログラム・ディレクターの深堀昂氏は「宇宙での作業支援以外に、地球にいながら宇宙遊泳や月面散歩を楽しむエンターテインメントにも応用できる」と話し、AVATARの活用範囲の広さを示した。

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AVATARと遠隔操作ロボットを使った宇宙遊泳や月面散歩のイメージ図
(スライドはANAHDのデータ)

 深堀氏は「自分自身が動いたり触ったりして外部環境に影響を与えられるのが、AIやテレビ電話といった既存技術との違い」と強調したうえで、「ロボットを遠隔操作する人の職能によって様々な役割を持たせられる」と語った。本記事では、発表会で実施された3つのデモを紹介する。

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