蚊に血を吸われるときには痛みを感じないように、採血も痛くなくなれば良いのに――。誰もがきっと一度は考えることだろう。このような願いを叶える、蚊の生体模倣技術(バイオミメティクス)を用いた無痛採血システムを、関西大学が「イノベーション・ジャパン2018」(2018年8月30~31日、東京ビッグサイト)で展示した。

 関西大学 システム理工学部 機械工学科 教授の青柳誠司氏らは、蚊の吸血針の動きの「往復回転運動(ねじり)」に着目した。蚊は、針を左右に180°ずつねじりながら皮膚に刺し込む(穿刺)。青柳教授らが行った実験では、針を直進させた場合は皮膚が大きくたわむのに対し、回転させながら刺していくとたわみが小さくなった。さらに、蚊の吸血針の動きを基に、採血に適した回転角や速度を調整。1秒間に3往復の180°回転運動をすることで、血流が止まらず、血管や組織の針への巻き込みも防げることを確認した。

針の往復回転運動により皮膚のたわみを防ぐ
(出所:関西大学)
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 従来のシステムでは、ばねの力で針を一気に刺して採血していた。このとき、血管や組織が広い範囲で破壊されるため、衝撃が痛覚神経にまで伝わり「痛い」と感じる。一方開発した無痛採血システムでは、針を往復回転しながら徐々に刺し込んでいくため、血管や組織を破壊せずにピンポイントに狙うことができ、痛覚神経が影響を受けず痛みを感じない。

無痛採血システムと従来の採血方法の比較
(出所:関西大学)
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