三菱電機は、ロービームのヘッドライト照射エリアよりも遠方を遠赤外線カメラで撮像し、ハイビームで歩行者をまぶしくさせることなく、認識する技術を開発した(図1)。捉えた歩行者にはスポット照射し、運転者に注意を促すとともに、歩行者には車両の存在を知らせる。

図1 専用設計の車両に遠赤外線カメラとスポットビームを内蔵
(写真:三菱電機)
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 開発した技術は、一般道でロービームを照射しながら走行する夜間での使用を想定したもの(図2)。ロービームの照射エリアは、一般には前方の50mほど。それより先は運転者には視認しにくい。そこで遠方の認識に遠赤外線カメラを使う(関連記事:「赤外線センサー技術の基礎から応用まで」)。遠赤外線カメラは、歩行者や車両が熱を持っていることで発する遠赤外線を捉えるカメラである。完全な暗闇でも周囲との温度差があれば認識が可能だ。また、自車両以外のヘッドライトが散乱している環境で、逆光状態になっても歩行者を認識しやすい。

図2 ロービームより遠方の歩行者を認識
(図:三菱電機)
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 同様の目的の技術には、多数のビーム光をマトリックス状に配置したヘッドライトを常時ハイビームとして、歩行者や対向車の部分のみに光を当てないよう動的制御する手法がある(関連記事:例えば「ハイビームでも眩しくないヘッドライト、TIがデモ」)。ただし「対向車の運転者や歩行者からは、ヘッドライトの動的制御に伴う点滅が目に入ってまぶしく感じさせる恐れがある。この課題は(簡単には)なくせない」(自動車分野の研究者)との指摘がある。歩行者の認識のために光を照射する必要があり、そのために注意喚起が不要な歩行者の目に光が当たってしまうことが時々生じることによる。

 人の目には見えない近赤外線を照射し、その反射光を近赤外線に感度を持たせたカメラで撮像する手法もある。ただし「近赤外線の反射率が歩行者と周囲で近い場合には歩行者が埋もれて認識率が落ちる恐れがある。遠赤外線を捉える場合には(夜間に周囲の構造物などが体温と同じ温度になるケースはまれで)近赤外線を使う場合よりも認識率が上がる」(三菱電機)という。

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