ワイヤードは、リチウム(Li)イオン2次電池の電極材にレーザーで多数の微細な穴を連続的に開ける技術を開発した(図1)。同電極材を用いることで次世代Liイオン2次電池の高容量化に欠かせないとされるLiイオンのプリドープが容易になり、不可逆容量が大きい電極材料やLi化合物ではない高容量な正極材料の利用を拡大できるとしている。

図1 電極にレーザー加工で穴開け
シリコン負極をステンレス材に塗布した電極にレーザー加工で穴開けをした。電極の裏からライトを当てると、光が透過しているのが分かる
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 次世代に向けて高容量なLiイオン2次電池の材料開発が進む中、初期充電時にLiとの化合物が電極上などで生成され、充放電に利用するLiイオンが減少してしまい、高容量化できないという課題がある。これを解決する手段として、Li箔をあらかじめセル内に配置し、負極とLi箔を外部短絡させてLiイオンを供給するプリドープの技術が注目を集めている(図2)。

図2 レーザー加工した電極を用いたプリドープ可能なセル構造
プリドープすることでセル内に不足するLiを供給でき、高容量化が可能になる
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 ワイヤードでは、まず高容量な負極材料として普及が期待されているシリコン負極へのレーザー加工技術の適用を狙う。シリコン負極は理論容量が4200mAh/gと、従来の黒鉛負極に比べて10倍以上高いものの、プリドープしない場合は初期充放電効率が約80%と放電容量が下がってしまうのが課題だった。

 また、シリコン負極は充放電時の膨張/縮小の変化が大きいことから、電極の集電体には銅箔ではなく、高強度なステンレス材の採用が検討されている。しかしながら、ステンレス材にプリドープするための微細な穴を開けるのは難しく、仮に機械的に穴開けができたとしてもバリなどによる内部短絡の恐れがあった。

 ワイヤードが開発した技術を用いた場合、シリコン負極をステンレス材に塗布した後の電極に任意の開口率で穴開けができ、従来の電極製造工程に対して追加で導入できるとする(図3)。

図3 一定の開口率でレーザー加工した電極
左が三元系正極に開口率1.5%で穴開け、右がSi負極に開口率0.5%で穴開けした様子
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