「RPAしくじり先生」。テレビの人気番組にあやかったネーミングで、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)導入の失敗から得た知見を積極的に公開している人物がいる。求人サイト「バイトル」や「はたらこねっと」を運営するディップの進藤 圭 次世代事業準備室室長だ。

自称「RPAしくじり先生」、ディップの進藤 圭 次世代事業準備室室長

 同社のRPA導入には紆余曲折があった。最初に挑戦したのは2007年。テスト自動化ツール「Selenium」を使って定型業務の自動化に挑んだが、自動化用スクリプト作成に手間がかかり過ぎて断念した。2011年に商用RPAツールの活用でリベンジを狙うも、これも失敗に終わった。

 2016年にRPA導入の検討を再び開始。ツール選定に苦労しながらも、2017年にクラウド型RPAツール「BizteX cobit」の利用を開始した。現在、営業担当者がExcelに入力した求人情報をサイトの管理画面に転記する業務や、住所をGoogleマップの座標に変換する業務などを自動化している。

 2018年2月には、複雑な処理の自動化を目的に別のクラウド型RPAツール「Robotic Crowd」を追加導入した。今後は特定のPC上でしか扱えないデータを使った業務も自動化すべく、クライアントPC上で動作するRPAツールの検証を進めている。

 こうしたRPAの社内導入や拡大を続ける中で「様々な失敗を経験した」とRPA導入を主導する進藤室長は明かす。今回は進藤室長がRPAの導入や運用で経験した4個の失敗について紹介しよう。

ディップの進藤室長が経験したRPA導入時の失敗
フェーズ失敗したこと概要
企画コンセプト作り働き方改革という経営者目線のコンセプトを掲げたが、現場に反感を持たれて協力を得られなくなった
評価RPAツールの選定他社の成功事例を見てRPAツールを選定したが、自社の体制に合わなくて変更の必要が生じた
導入自動化対象業務の選定投資対効果優先で業務を選定したが、自動化に必要なコストと時間が大きく不向きな業務が多かった
運用ロボット停止時の対応ロボットが停止するたびにシステム担当者に電話があり、システム担当者が対応に忙殺された

「働き方改革」は嫌われる

 RPA導入の最初の段階、企画フェーズでコンセプト作りの失敗を経験したという。「経営者目線で『働き方改革』をコンセプトに掲げたところ、利用部門の反感を買ってしまった」(進藤室長)。

 導入対象部門にヒアリングしていると相手は不機嫌な表情で、どういった作業で苦労しているかを話したがらなかったという。非協力的な態度を不思議に思い、進藤室長が匿名で関係者に事情を聞いたところ「利用部門の現場からすると、生産性の低い部門と名指しされたようなものだと捉えられていた」(進藤室長)。

 コンセプトを「帰宅が1時間早くなる」に変えて再スタートしたところ、利用部門が協力的になった。進藤室長は「RPAのロボットを作って管理するのは利用部門が主体となる。そこにそっぽを向かれるコンセプトを立ててはいけない」と反省する。利用部門にそっぽを向かれるとロボットを作れないし、無理矢理作っても保守運用で破綻する。

この先は有料会員の登録が必要です。今なら有料会員(月額プラン)が12月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら