ガソリンエンジンの燃費性能を高める手段として、排気量を大きくする“アップサイジング”に日系自動車メーカーが舵を切る。大排気量化は、かねて出力向上の手段にするのが一般的だった。燃費改善につなげる新しい潮流が始まる背景には、実走行中の燃費値に近づけた新測定法の導入がある。一方で、排気量に応じて増える自動車税が普及への課題となる。

 SUBARU(スバル)が2018年7月に発売した新型「フォレスター」のガソリンエンジン車で排気量を2.0Lから2.5Lに、スズキは同月に発売した小型ガソリン車「ジムニーシエラ」で1.3Lから1.5Lに大きくした。両社が意識したのが、実走行中の燃費値に近づけた新しい走行試験モード「WLTC(Worldwide-harmonized Light vehicles Test Cycles)」である。

左がフォレスター、右がジムニーシエラの外観

 WLTCモードによる燃費値の表示は欧州で2018年9月から、日本で同年10月から新型車を対象に始まる。中国やインドも今後導入する計画だ。現行の走行試験モードに比べて燃費値は悪化する方向で、各社が悪化するのを抑える対策を進めている。

WLTCモードは、現行のNEDCモードに比べてエンジンの負荷が大きくなる。それぞれの試験モードに沿って車両を走らせたときのエンジン負荷を記した。なお、自然吸気エンジンを搭載したある車両の負荷(トルク)を100%と換算している。オーストリアAVLの資料を基に作成した。

 例えば欧州の場合、現行のNEDCモードに比べて加減速が激しく、最高速度が高くなる。エンジンの高負荷域を使う比率が増えるため、実燃費値に近づくものの値は悪化する。車両質量によっては、NEDCに比べて2割近くも悪化するとみられている。日本では現行のJC08モードに比べて、欧州と近い程度に悪化する傾向とされる。

 排気量を大きくするとWLTCモードにおける燃費値の悪化を抑えられるのは、相対的にエンジンの低い負荷域を使えるためである。エンジンは中負荷域の燃費性能が高く、高負荷になるにつれて悪化するからだ。排気量を増やせば、WLTCモードの高負荷域でエンジンの中負荷域を使えて燃費値の悪化を抑えられるわけである。

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