ダイキン工業が工場IoT(インターネット・オブ・シングズ)システムの構築を世界規模で進めている。工場の稼働状況をリアルタイムで一元的に収集する。米国、インド、ベトナムの生産拠点に続いて、2018年6月に日本の生産拠点と接続。2025年3月までに世界の全90拠点を接続する計画を掲げる。

 「遅かれ早かれやって来るマスカスタマイゼーション(大量個別生産)時代に向けた準備だ」。ダイキン工業テクノロジー・イノベーションセンターの高山正範グループリーダーは工場IoT構築の狙いをこう説明する。マスカスタマイゼーションは大量生産並みのコストやスピードで個別仕様の製品を生産することを指す。

 この形を取ると生産管理が複雑になり、1つの問題が大幅な生産遅れにつながりかねない。全ての工場の稼働状況を把握し、データを活用して「止まらない工場」を実現する。これがダイキン工業が工場IoTで目指す姿だ。

工場から集めるデータを標準化

 ダイキン工業は工場IoTの実現に向けて、「工場IoTプラットフォーム」と呼ぶ独自のデータ管理基盤をクラウドサービス上に構築した。

ダイキン工業が世界の工場に展開する「工場IoTプラットフォーム」の概要
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 工場IoTプラットフォームは工場内の様々な設備からデータを集めるIoT基盤である。同社は工場IoTプラットフォームを構築する際に、各工場から集めるデータの標準化を決めた。以下の経緯があったからだ。

 ダイキン工業は2007年のマレーシアOYLインダストリーズ買収を皮切りに海外空調機メーカーの買収を繰り返し、急成長してきた。2018年3月期の売上高は2007年3月期の2倍以上に拡大し、生産拠点は約90カ所におよぶ。

 急成長とともに1つの課題が浮上した。ある拠点で確立した生産管理手法や設備を横展開するのに時間がかかるというものだ。

 各工場は生産改善を目的として、工場内の設備から独自の意味や形式のデータを任意のタイミングで収集している。工場IoT基盤を実現する際に、それらのデータをそのままの形で集めても効果は小さいと考えた。「バラバラのデータを集めても拠点間で比較できない。生産管理などのために開発したアプリケーションを別の拠点に横展開できないという課題もあった」と高山グループリーダーは振り返る。

 ダイキン工業は2016年に、工場で発生するイベントのデータを標準化して全拠点から収集する方針を固めた。生産管理のためにはイベントを正確に把握することが重要であり、センサーなどの時系列データをそのまま収集しても無駄が多いと判断した。

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