政府は2018年7月23~27日まで5日間にわたって官民一体のキャンペーン「テレワーク・デイズ」を実施し、テレワークとフレックスタイムなどを組み合わせた多様な働き方を参加企業に促した。昨年の同キャンペーンは1日限定で、テレワークを試した参加企業は630社だった。今年は昨年の倍以上となる1380社が参加。各社各様の働き方を延べで約30万人が実践した。

テレワークの普及に向けた3つの課題
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 参加企業の1社であるアフラック生命保険はこれまでなかった働き方に気づけた。ある育児中の女性社員はこれまで時短勤務を余儀なくされてきたが、自宅でのテレワークとフレックスタイム制度を組み合わせて「フルタイム」の勤務が可能であると実証した。単身赴任中の社員は金曜日をテレワークに充て赴任先から自宅に戻って在宅勤務。土日の家族団らんと仕事を両立させる働き方が生まれた。

 積水ハウスは住宅展示場の自社のモデルハウスをサテライトオフィスとしても活用。午前中は自宅近くの住宅展示場に出勤して事務スペースで執務し、通勤時間が減った分、午後に取得した半日休暇がこれまでより充実するといった働き方を試す社員が登場した。

多様な働き方ができるのに気づかず

 一方で5日間という期間をかけたテレワークの実践を通して具体的な課題が見えてきた。「多様な働き方に社員が気づけない」「IT環境の違いでテレワークができない業務がある」「派遣・契約社員には難しい」の3点である。

 実は会社には多様な働き方がある。このことを知らなかったり、気づかなかったりする社員は意外と多い。こうした状況に対して、策を講じたのが東京急行電鉄だ。損害保険ジャパン日本興亜と共同で、テレワーク・デイズ期間中の午後に美術館や車両工場を見学するイベントを社員向けに実施した。

多様な働き方を促すために東京急行電鉄が開催した車両工場の見学イベント
(写真提供:東京急行電鉄)
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 「午前は美術館の近くでテレワーク、午後は半日休暇でイベントを楽しむ」といった働き方が可能であると社員に知ってもらうことを狙った。東京急行電鉄人材戦略室の林克也課長補佐は「テレワーク制度や半日休暇の取得制度を設けているが、組み合わせて利用できると気づいている社員は少ない」と背景を語る。

 IT環境の違いからテレワークができない業務があるケースは積水ハウスが直面した。社員2万人以上にiPadやiPhoneを配っており、社外でこなせる業務も多い。ただそれでも万全ではない。「育児と仕事を両立したいので在宅勤務をしたいが、CADソフトを使えるIT環境でないと担当する建築設計の仕事ができない」という社員が出てきた。

 積水ハウスが使用しているCADソフトはiPadでは利用できない。そこで同社はその社員に対して、CADソフトを搭載したノートPCを貸与した。テレワーク・デイズ期間も在宅勤務ができたという。森本泰弘ダイバーシティ推進部課長は「テレワークをする必要が出てきた社員がITの制約があって業務ができない場合、必要な機材などを提供するなどこまめな対応が不可欠だ」と話す。

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