政府の知的財産戦略本部は2018年6月22日、「インターネット上の海賊版対策に関する検討会議(タスクフォース)」の第1回会合を開催した。著作権侵害サイト(海賊版サイト)へのアクセス遮断(サイトブロッキング)を含む海賊版対策について、8月末までに6回の会合を重ね、9月中旬ごろに中間取りまとめ案を提示する予定だ。

第1回検討会議の様子
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 検討会議は慶応義塾大学の中村伊知哉教授と同大学政策・メディア研究科の村井純委員長が共同座長として、輪番で司会を務める。コンテンツ事業者としてカドカワの川上量生社長や講談社の野間省伸社長、法学者として早稲田大学の上野達弘教授や東京大学の宍戸常寿教授、弁護士として福井健策氏や森亮二氏などのほか、権利者団体、通信事業者団体、消費者団体の理事などで構成される。

 これまで知的財産戦略本部では主にコンテンツ事業者と知財の専門家などのメンバーがブロッキングの妥当性を議論しており、インターネット接続事業者(ISP)や法学者の意見が十分に反映されていなかった。特に悪質な海賊版サイトへのブロッキングについて「通信の秘密の侵害という違法性を阻却する『緊急避難』の要件を満たす」と整理した4月13日の政府決定に対し、緊急避難の乱用を危惧する法学者やISP業界団体が激しく反発した。

 今回、ISPや法学者、情報法に詳しい弁護士、消費者団体などをメンバーに加えたことで、ようやく主要なステークホルダーが議論のテーブルに着いたことになる。共同座長の中村教授は会議冒頭で「本問題は知財政策とIT政策の調整問題と認識している。(2つの政策は)日本で重要なツートップ。議論するのにこれ以上ないメンバーに集まってもらった」と語った。

 ただ、現行法下のブロッキングを巡って対立が先鋭化しただけに、議論は紆余曲折が予想される。実際、既に「場外戦」も起きている。もともとタスクフォースは当初6月初頭に開催する予定だった。開催が遅れた理由の1つに、サイトブロッキングの法制化を会議の既定路線とするか、ブロッキングありきでなく収入源の遮断や著作権教育などを含むパッケージとしての対策を検討するかを巡り、委員の意見が一致しなかったことがあったとみられる。

フィルタリングやドメイン没収も議論

 タスクフォースの検討範囲(スコープ)は3つある。(1)正規版流通の拡大策、(2)現行法令下での対策の検証と実効性評価、(3)悪質な海賊版サイトに対する権利行使を可能とする法整備のあり方だ。

 このうち(2)については、広告費など収入源の追跡や広告企業への遮断要請に加え、インターネットサービス事業者(ISP)と利用者が契約をする際にサイトブロッキングについての包括同意条項を入れる手法(フィルタリング)などを検討する。

 (3)についてはサイトブロッキングなどの有効性について、技術的検証を含めて検討する。米国で実施されている「ドメイン没収」も検討する。論点として通信の秘密や表現の自由、検閲の禁止との関係に加え、法整備の対象は著作権侵害に限定する形でよいか、児童ポルノやリベンジポルノも加えるかなどを検討する。

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