ガソリンエンジンの熱効率を飛躍的に高める希薄燃焼(リーンバーン)――。実現手段の一つとして注目を集めるのが、プレチャンバー(副燃焼室)燃焼技術である。低コストで二酸化炭素(CO2)排出量を大きく減らせる“費用対効果”が高い技術で、2020年以降にエンジンの主流になる可能性を秘める。

 自動車エンジニアリング大手のドイツIAVがこのほど、安価に実現するプレチャンバー技術を開発した。空気過剰率で2を超える超希薄な混合気を燃やすことに成功し、CO2排出量を7~8%(WLTCモード)減らせると見込む。プレチャンバー技術で先行するドイツ・マーレ(Mahle)に比べて、安く造れて排ガス性能を高められるという。

IAVのプレチャンバー燃焼技術。点火プラグの先端部を金属製キャップに挿入。キャップ内の空間がプレチャンバーになる。近くに空気補助インジェクターを設置して、混合気をチャンバー内に入れる。(出所:IAV)

 4気筒エンジンの場合、追加コストは20~30ユーロ(約2600~3900円)にとどまるとIAVは試算する。欧州で現在販売されている乗用車の平均CO2排出量は130g/km弱。IAVの新技術で1g/km減らすのにかかるコストは、2~3ユーロ(約260~390円)と計算できる。最近では10倍近くかかることがざらなので、極めて“費用対効果”が高い技術といえる。

 プレチャンバー技術は、点火プラグの先端をプレチャンバーと呼ぶ小部屋に収めて火を点けるもの。プレチャンバーに設けた複数の小さな穴を通過した高速な火炎が主燃焼室に広がり、超希薄な混合気を燃やせる。

 近年、ドイツ・ダイムラー(Daimler)やイタリア・フェラーリ(Ferrari)などが「F1」の競技車にプレチャンバー技術を採用し、脚光を浴びる。

トヨタの競技用ハイブリッド車「TS050 HYBRID」。2018年6月の耐久レース「ルマン24時間」で初優勝した。エンジン熱効率の向上にプレチャンバー技術を採用した。(写真:トヨタ)

 日本ではトヨタ自動車が「WEC(世界耐久選手権)」の競技車に採用し、市販車への転用を図る。「CVCC(複合渦流調速燃焼)」と呼ぶ副燃焼室を設けるプレチャンバーと似た発想の技術でかつて世界を驚かせたホンダも、プレチャンバー技術を熱心に研究する。

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