「2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでに、訪日外国人を含む利用者が使いやすい公共交通機関のオープンデータを整備したい」。こう語るのは坂村健・東洋大学情報連携学部長。東京地下鉄(東京メトロ)やグーグルなどから成る民間団体「公共交通オープンデータ協議会」の会長を務める。

 同協議会は2018年5月15日、首都圏の鉄道やバス、航空の事業者が公開したデータを活用したアプリやアイデアを競うコンテスト「東京公共交通オープンデータチャレンジ」の表彰式を開催した。参加者向けに鉄道やバス、航空の計22社・団体が、時刻表やリアルタイムの運行情報を無償公開した。コンテスト期間中の限定とはいえ国内の公共交通分野のデータ公開としてはかつてない規模だ。

 最優秀賞は東京に乗り入れるあらゆる鉄道の情報を1つのアプリで閲覧できる「Tokyo Trains」。このほか、世界でも複雑な首都圏の公共交通網を観光客や訪日外国人が使いやすくするアプリが入賞した。

2020年に向けてオープンデータを整備

 2017年12月7日に始まったコンテストの参加受付には824件のデータ利用の申し込みがあり、2018年3月の締め切りまでに98件のアプリケーションやアイデアが寄せられた。北米など海外の応募者もいた。東京メトロが2014年に実施したコンテストに続く取り組みだ。

 同協議会は既に2018年7月に第2回のコンテストを開催することも決定済みだ。英国は2012年のロンドンオリンピックをきっかけに公共交通のオープンデータによって多様なアプリが登場した。同協議会は日本でもコンテストを通じて公共交通事業者に継続的なデータの公開を促す考えだ。

写真 「東京公共交通オープンデータチャレンジ」表彰式
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 最優秀賞を受賞したTokyo Trainsは鉄道会社の枠を超えて列車や駅ごとの時刻表や乗り換え情報が分かり、リアルタイムで電車の位置や遅延情報も表示する機能がある。

 公共交通機関は自社の情報は提供しているものの、それぞれのWebサイトやアプリを通じてしか情報を見られない。開発者の日向慧氏は「いろいろな会社の路線情報を1つのアプリで操作できるように開発した」と話す。

図 東京に乗り入れるあらゆる鉄道の情報を1つのアプリで閲覧できる「Tokyo Trains」
(出所:日向慧氏)
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 ただ、コンテストで交通事業者が公開したデータは十分ではなかった。例えば同じ路線でも行き先が分かれる車両や、乗り継ぎ可能な車両のデータは開発者が独自に補う必要があったという。日向氏は「今後公開されるデータが増えれば理想のアプリとして完成させられる」と語った。

 コンテスト審査員長の坂村氏はTokyo Trainsについて「利用者が『公共交通オープンデータ』に何を期待しているのかを端的に示した作品」として最優秀賞に選んだ理由を挙げた。

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