NECは2018年4月26日、AI(人工知能)とビッグデータを使った予測分析の自動化技術を社外に切り出し、米シリコンバレーに新会社「dotData(ドットデータ)」を設立すると発表した。同技術を開発したNECデータサイエンス研究所の藤巻遼平主席研究員が最高経営責任者(CEO)として技術ごと新会社に移る。「外部のベンチャーキャピタル(VC)からの出資も募り、結果としてNECの連結対象から外れても構わない」(NECの藤川修執行役員)という異例の枠組みにより、新事業を短期間に軌道に乗せることを目指す。虎の子の新技術だからこそ社外へ切り出すという手法は新規事業の新たな育成モデルとなるのか、成否が注目される。

米シリコンバレーに設立した新会社「ドットデータ」の社長となる藤巻遼平氏(中央)。主席研究員として勤めていたNECから、自ら開発した予測分析技術ごと独立する
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 予測分析自動化技術は、企業が持つ膨大なデータの中から特徴量を見つけ出して予測モデルを自動生成し、それを将来の予測に活用しようというものだ。予測モデルの自動生成技術は他社も開発しているが、NECの技術は2つの点で独自性があるとする。1つは、分析を始める前にデータの形式や書式の揺れを修正し、全データの表記を統一する「データクレンジング」をしなくてもある程度の分析が可能であること。元のデータの量にもよるが、このデータクレンジングは「一般に数カ月かかる」(藤巻主席研究員)という膨大なもので、データ分析を実施するうえでの障害となっていた。

 もう1つは、AIが生成した予測モデルについて、なぜその予測モデルを生成したかという根拠を示し、人が確認して予測モデルをさらにブラッシュアップできる点にある。「予測モデルが自動生成されても、そこに至った理由がブラックボックスのままだと、企業がその予測モデルをビジネスでどう運用するかという点で詰まってしまう」(藤巻主席研究員)とする。

 NECと共同で2017年秋に同技術を実証実験した日本航空(JAL)は、「JALのWebサイトのアクセスログだけを基に、サイトを訪れた全マイレージ会員のうち国内線航空券を購入する会員を予測」「過去3カ月に国際線の航空券を購入したマイレージ会員のうち、ハワイ行きの航空券を購入する会員の予測」といった分析を実施。データサイエンティストが手動で見つけ出した予測モデルと遜色ない精度を同技術で自動生成できたほか、手動では見つけられなかった特徴点を同技術で発見することもできた。

 国内トップクラスのデータサイエンティストとして広く知られるJAL Web販売部 1to1マーケティンググループの渋谷直正氏は「アクセスログをAIに読ませるだけで意味のあるデータセットを発見し、予測モデルまで作成できるのは夢の技術だ」と同技術に太鼓判を押す。

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