東芝デバイス&ストレージ(以下、東芝)とジャパンセミコンダクターは、クルマのパワーステアリングなどのボディー系のモーター制御や、産業機器のモーター制御などに使うアナログパワーICの信頼性を高める技術を開発した(ニュースリリース)。このICを使ったクルマのボディー部品や産業機器などの長寿命化につながる。今回の技術は、東芝のトランジスタ設計技術と、ジャパンセミコンダクターの車載アナログIC製造で培ったプロセス開発技術を組み合わせて、実現したという。

今回開発した技術が活きる、車載モーターの例。パワーステアリングなどのボディー系の部品である。東芝らのスライド

 今回、東芝とジャパンセミコンダクター(以下、両社)はこうしたアナログパワーICに集積されるnチャネルLDMOS(Lateral Double Diffused MOS)トランジスタの信頼性向上技術を開発した。両社は、以前からアナログパワーICに0.13μmルールのLDMOSトランジスタを使ってきた。今回開発した信頼性向上技術は、両社にとって第4世代(G4)の0.13μm LDMOSトランジスタに適用される。第1世代(G1)から第3世代(G3)までは基本的に同じ構造で、ドリフト層と設計ルールを最適化することで性能を向上させてきた。

 最近になって競合他社が特徴のある構造のLDMOSトランジスタで性能を向上させたり、車載ICの一層の長寿命化を求める声が大きくなったりしたことを背景に、両社はLDMOSトランジスタの構造を変更することにした。G3までのSTI(Shallow Trench Isolation)絶縁膜を持つ構造では、ホット・キャリア・ストレスを長時間加えると、ある時間経過後に急激にオフリーク電流(トランジスタがオフ状態のリーク電流)が増えてしまう。オフリーク電流が増えると回路動作の不具合が発生する恐れがある。すなわち、オフリーク電流が一定以上の値になると、LDMOSトランジスタは寿命を迎える。

オフリーク電流の概要。東芝らのスライド
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 構造を変更する前に、オフリーク電流が急激に増加する仕組みを解明し、「2017 International Conference on Solid State Devices Materials (SSDM 2017)」で発表した。その発表によれば、トランジスタがオンの時(動作時)にSTI端でホットキャリアが発生しやく、それが固定電荷の発生につながる。このためトランジスタがオフになった際に、大きなリーク電流が流れるという。そこで、この仕組みでのオフリーク電流が発生しにくい構造を探った。

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